人材流出に懸念「経営不振の元凶となった分野で復活望めるか」
株主総会詳報・シャープ(7)
シャープの株主総会の会場に入る株主ら=23日午前、大阪市西区(前川純一郎撮影)
株主からは、シャープの人材が日本電産など同業他社に流出していることへの懸念や対抗策を求める声が相次いだ。
女性株主は「(同業他社への転職は)退職後5年(は禁じる)など一定期間の制限をかけられないのか。職業選択の自由とはいえ、やはり納得いかない」と不満を口にした。
高橋興三社長は「日本電産では中身の事業は、現在はシャープと競合していない。将来的には分からないが、日本電産はモーターなどデバイスが中心だ」と理解を求めた。
また、AI(人工知能)や(さまざまな機器がインターネットを介して連携する)IoTなどを成長戦略とするシャープの経営戦略にも質問が出た。
男性株主は、シャープの経営不振は液晶事業に傾注した時代からあったとし、「AI、IoTもデジタルの技術だ。果たして経営不振の元凶となったデジタル分野で復活を望めるのか」と疑問視した。
これに、長谷川祥典代表取締役は「シャープの強みはリアルの家電を手がけていること。バーチャルな技術をリアルの家電につなぐ技術こそが今後、伸ばしていきたい分野だ。家電製品をネットにつなげて消費者の生活向上を目指す」と力を込めた。
長谷川氏が「我々が目指すのはソフトウエアを構築し、価値を提供いくこと」としたことに、男性株主が「ソフトウエアこそ誰でもできるのでは。世界では第二、第三の鴻海がでてくる」と疑問を投げかけると、長谷川氏は「ソフトウエアは誰にもできない。例えばアップル社のアイフォーンのような技術・製品は誰にもできない。ソフトウエアは企業価値であり、商品価値だ」と回答した。
シャープの業績見通しについて、黒字化のめどを問われると、長谷川氏は「できるだけ早期にしたい。取締役に残していただく以上は早期の黒字に取り組む」と強調した。
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