シャープ、7000人削減も 戴次期社長「信賞必罰」の新制度導入

 
記者団の質問に答える鴻海精密工業の郭台銘会長=22日、台湾新北市(共同)

 シャープを傘下に収める台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は22日、シャープの経営を再建するため、世界で7000人規模の人員を削減する可能性があると明らかにした。シャープの次期社長に就任する戴正呉・鴻海グループ副総裁が表明した。23日に開催されるシャープの株主総会に戴氏は出席する。

 戴氏は、台湾北部の新北市で22日に開いた鴻海の株主総会後、記者団に「信賞必罰を明確にする」と述べ、評価主義に基づく新たな人事制度を導入する方針を示した。「これまでのシャープの経営陣は責任がなかった」とも語り、不振の太陽光パネル事業などで経営管理がずさんだったと指摘した。

 中国市場での販売を立て直すため、広東省深セン市に「海外本部」を設置する計画も説明。シャープが家電事業で事実上、撤退した欧米市場を再開拓することに意欲も見せた。

 シャープの将来については、さまざまな機器をインターネットでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」を得意とする会社になるべきだと強調した。

 株主総会では、郭台銘会長が、シャープへの出資手続きについて「今月中に終えるだろう」と説明。冒頭のあいさつでは「シャープの先進技術と互いに補えるところが大いにある。今年の非常に大きな仕事だ」と述べ、買収の効果を訴えた。

 株主に示した年次報告書では「歴史的な意義のある戦略的同盟を展開できるのは光栄。互いの強みを合わせ新たな局面を切り開く」と強調。シャープの買収は「鴻海の発展に必要な投資」(郭氏)として、株主に理解を求めた。会場にはシャープ製品の展示ブースを設け、報道陣にも公開した。

 ただ、シャープの液晶事業は不振から脱却できておらず、3888億円の巨額出資の是非をめぐる議論もある。株主の一人は「シャープの財務問題が心配だ」と質問。郭氏は「短時間で多くの改善措置を取ることができる」と答えた。(新北 共同)