創業家VS現経営陣に確執 “第2の大塚家具”に…
大戸屋株主総会詳報(上)定食店「大戸屋ごはん処」をチェーン展開する大戸屋ホールディングス(HD)は23日、東京都内で株主総会を開き、会社側が提案した取締役を大幅に刷新する人事案が賛成多数で可決された。5月に大株主である創業家が突然、会社側が諮る人事案に「納得できない」と反対を表明したことで表面化した創業家と会社側の対立。会社側が提案した人事案が承認されたが、対立がすっきりと解消されたわけではない。市場からは対立が長引く“第2の大塚家具”になるのでは…との懸念の声も出ている。
窪田社長が騒動を陳謝
「株主の皆様に大変なご心配をおかけしましたことをおわび申し上げます」。
創業者の三森久実前会長が57歳で急逝してから1年足らずで勃発した“お家騒動”。総会は、小雨が降るなか集まった株主1494人(昨年は1280人)に対する窪田健一社長(45)の陳謝から始まった。
冒頭、窪田社長は対立の経緯などを説明。「大戸屋ごはん処」を一大チェーンに育て上げた久実氏に関して、「前会長を慕い尊敬する気持ちは生涯変わるものではなく、この思いは役職員のすべてが共有している」と、創業者への熱い思いを強調した。
創業家との対立は、“カリスマ”で知られた久実氏のファンが多い加盟店オーナー株主や個人株主の離反を招く恐れもあった。窪田社長は「私は前会長のようなカリスマ性のある経営者ではない。だからこそ風通しの良い企業風土を作り、前会長の経営理念の実現に向け邁進(まいしん)したい」と、自身を中心にガバナンス(企業統治)を強化していく必要性を訴えた。
会社側が提案した人事案は、取締役11人のうち窪田社長ら3人を再任し、社外を含め8人を新たに選任するというものだ。これに反対した創業家は、久実氏の妻三枝子さん(62)と長男智仁氏(27)の2人で、久実氏から計18%超の株式を相続した。
対立は会社側が久実氏の死後に経営陣の顔ぶれを一気に替えようと動き、創業家側の“不信”を招いたことが発端だ。
創業家の“降格”を否定
昨年11月に常務だった智仁氏が取締役に降格。人事に異を唱えるかのように、智仁氏は今年2月に取締役を辞任して会社を去った。
この人事に関し窪田社長は「降格というのは事実ではない。意思決定のスピードアップを図るため専務や常務などの肩書を廃止した」と説明。智仁氏の辞任も「今年2月24日に智仁氏が私の部屋を訪れ、『一身上の都合で取締役を辞任したい』との申し出があった」と明らかにした。その上で、「その場で慰留もしたが、智仁氏の意思が固いため辞任届を受理した」と述べ、辞任はあくまでも本人の意思であることを強調した。
1年前の体制は久実氏が海外戦略を担当し、久実氏が指名した窪田社長が国内を担う二枚看板だった。智仁氏が常務を務め、社外取締役も含め久実氏に近いメンバーをそろえていた。
これに対して新体制は窪田氏が再任され、主力取引銀行出身で相談役兼最高顧問の河合直忠氏(71)が中枢に復帰。久実氏の兄で医師の教雄氏(59)が加わる。一方でこれまで取締役だった8人のうち5人が退任する。
智仁氏はこれまでの産経新聞の取材に「取締役会はうまく機能していた。メンバーを一気に入れ替えるのは疑問だ」と述べ、不満を表明していた。会社側が提案した人事案は、見方によっては創業者の久実氏に近い人物を排除したとも受け取れる内容だからだ。
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