鴻海会長と新社長がシャープ酷評 「社風が金持ちの息子」「日本人に経営無理」
シャープを買収する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が、国内外で7千人程度の人員削減や海外拠点を整理する可能性があることを認めた。22日に台湾・新北市で開いた株主総会で、郭台銘会長は「日本式のやり方が、会社にとって利益がないと判断したらきっぱりカットしたい」と、厳しい口調で述べた。さらに「飼い主を代えても悪い卵しか産まない鳥はいらない。シャープは残そうとするが、カットすべき人はカットする」と、鴻海主導でリストラを急ぐ姿勢をむき出しにした。(石川有紀)
「1+1」を3、4、5以上にする自信
約600人の株主が詰めかけ、日本からの多くの報道陣が押し寄せた注目の株主総会。郭会長は「シャープには素晴らしい技術力とブランド力があり、1+1を3、4、5以上にする自信がある」と、シャープへの出資の意義を強調した。海外のシャープの販売代理店を鴻海に切り替えて、全世界での販売を強化する構想を披露した。
郭会長はその一方で、シャープのリストラについて言及。「まずは海外から手をつけ、適正な経営コストの会社にしたい」と述べ、中国などの工場や販売拠点の閉鎖・縮小も検討することを示唆した。さらに「(日本ではチームプレーが称賛されるが)個人ごとの業績を評価し、信賞必罰の制度を採用する」とも述べた。
シャープは「金持ちの息子」?
人員削減をめぐっては、シャープの次期社長に就く、鴻海グループの戴正呉副総裁が株主総会後、記者団に対し「全世界で削減する可能性はある」と語っている。
戴氏は具体的な規模は明言しなかったが、関係者によると、削減が検討されているのは海外4千人、国内3千人で社員以外に協力会社社員を含むという。「一生懸命やっている人と、寝ている人が同じ給料なのはおかしいので、必ず変えたい」と戴氏。
その戴氏はまたシャープの社風を「金持ちの息子のよう。ぜいたくで、期限もコスト意識もなく、責任もない」と批判し、「郭会長は、日本人に経営を任せたいと候補者を探したが、このような財務状況では無理だと結論づけた。自分の息子は自分で教育できないだろう」と明かした。そのうえで「早ければ3年、遅くとも6年、シャープの業績が好転すれば次の社長は日本人に引き継ぎたい」と述べた。
ロボホンもコストダウン?
株主総会のあった鴻海の本社では、株主や報道関係者向けにシャープの家電製品などが多数展示されていた。総会最後の株主による採決中に会場を抜け出した郭会長は、シャープ買収を「私の人生で二度目の創業のような気持ち。必ず成功させる」と自ら報道陣に積極的にPR。
シャープの「ヘルシオ」ブランドの電気鍋で作ったというカレーを報道関係者に振る舞うなど、終始ご機嫌だった。
総会では「どの家電製品もコストが高い。部品調達や販売の中間コストを削れば、価格を下げられる」と言及。シャープが5月に発売したばかりのモバイル型ロボット電話「RoBoHon(ロボホン)」の展示を報道陣に案内しながら、台湾で受注販売を検討していることも明らかにした。
ただ、郭会長、戴正呉新社長から投げかけられた言葉はシャープにとって厳しいものがほとんだった。
23日には、大阪市内でシャープの株主総会が開かれた。シャープは雇用の維持などを条件に鴻海の傘下入りを決めていたが、その前提が崩れた格好で、厳しい船出となった。
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