進化するコンビニ和菓子、目指すは「専門店の味」 嗜好探りながら試行錯誤
コンビニエンスストアで和菓子の商品が進化を続けている。地域ごとに味の特色を変えたり、生クリームを入れて和洋を融合させたりと工夫を凝らし、購買層をスイーツ好きの若い女性や男性にも増やして市場規模を拡大させている。目指すは、和菓子専門店といったところか!(中山玲子)
地域性を反映
「関西ではみたらし団子の種類を他地域より充実させています」
コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンの担当者は、全国展開するみたらし団子で「地域ごとの味の開発や商品展開をしている」と明かす。関西では本来のしょうゆを控えめにし、本みりんを加えて爽やかな甘みに仕立てる。夏によく出る定番の「冷やしみたらし」は近くリニューアルする予定だ。
地域別に味を変えるみたらし団子は昨年6月から展開。全国5地域に分け、あっさりめの関西に対し、関東ではしょうゆ味を強くしたり、九州ではもちに焦げ目を入れて香ばしくしたりしている。その後も地域分けを微調整するなど、消費者の嗜好を探りながら試行錯誤を重ねている。
みたらし団子は京都発祥とされ、特に関西にはファンが多い。他地域では1種類の展開にとどまるが、関西では、もちの中にタレが入った「包みみたらし」など複数の種類のみたらし団子を展開している。
同社では砂糖の使用量を抑えることができるチルド(冷蔵)対応の和菓子商品をいち早く投入。健康志向の女性も意識した商品開発を進めている。
常時十数種を展開し、次々と新商品も投入。今年度は前年度比2割増の売り上げを目指す。
厳選素材も
コンビニ大手・ファミリーマートは、和菓子にクリームやフルーツなど洋菓子風の要素を取り入れ、幅広い年齢層に好まれる商品展開をはかる。
特にクリーム入りで人気なのは、あずきクリーム入りのどら焼き(160円)や、カスタードクリーム入りのたい焼き(140円)などだ。
ほかにもフルーツ大福を大量に製造できる新設備を導入。これまでにチョコバナナ大福や苺(いちご)の生大福などを販売してきた。7日には桃大福も発売。広報担当者は「クリームやフルーツを入れることで客層が広がった」と手応えを感じている。
一方、コンビニ大手ローソンも、柏餅(150円)など和菓子の味の決め手となる小豆には、北海道産の「きたろまん」などの厳選素材を惜しみなく使用。味にこだわる消費者の嗜好を満たしている。
広報担当者は「目指すのは和菓子専門店の味」と胸を張る。
膨らむ市場
コンビニ業界の関係者によると、和菓子の購入は従来、昼よりも夜の方が多かったが、最近では昼食の弁当やおにぎりなどと一緒に購入していく客も増えており、昼の需要が拡大傾向にあるという。
こうした消費者動向も踏まえ、コンビニ各社も彼岸や端午(たんご)の節句、月見など季節の行事などに合わせ新商品を投入し、市場規模を拡大させている。
民間調査会社、富士経済(東京)によると、和菓子(チルド対応)の市場規模は、平成19年の46億円から26年には94億5千万円とほぼ倍増の勢いをみせ、年内にも100億円を超えると見込まれている。
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