出光VS創業家、主張は真っ向対立 昭シェルとの合併、公益財団の保有株が焦点 経営側が調査
石油元売り2位の出光興産の創業家が同社と5位の昭和シェル石油の合併に反対を表明した問題で、創業家側の株主とされる公益財団の扱いが焦点となってきた。創業家は今後開かれる臨時株主総会で合併を拒否できる3分の1を超す株式を保有していると主張。これに対し経営側は、財団の持ち分を除くと2割強に下がると反論し正当性について調査に乗り出した。両者の対立は深く、関係は決定的に悪化する可能性もある。
出光が28日に開いた株主総会では、創業家の資産管理会社で筆頭株主の日章興産と、出光文化福祉財団、出光美術館などが、合併を進める取締役の再任議案に反対票を投じた。
創業家の代理人である弁護士は、持ち株比率は議決権ベースで計33.92%を創業家が保有していると説明する。このうち、出光文化福祉財団の持ち株比率は7.75%、出光美術館は5.0%。この2団体が創業家の影響を受けないならば、創業家の持ち分比率は21.17%に下がる。
昭シェルとの合併には、臨時株主総会を開き、合併承認する特別決議に株主の3分の2以上の賛成が必要だ。もし、持ち株比率が21.17%なら否決に必要な3分の1に届かず、合併計画への影響は小さくなる。
経営側は2団体について「公益財団であり、創業家に属するものではない。公共・公益性が強く、私物化できない」(広報CSR室)との見解で、創業家の主張に法的合理性があるかどうか慎重に調査している。
経営側は、公正取引委員会の審査を経て9月中にも昭シェル株33.3%を取得し、来年4月に合併する計画。臨時株主総会を年末までに開催する予定だ。創業家の主張に正当性があれば、第三者割当増資を実施し、創業家の持ち株比率を引き下げる手段も選択肢に入る。
経営側は29日、増資が取り沙汰されていることについて「検討している事実はない」とのコメントを発表した。創業家側は同日、産経新聞の取材に対し「基本的に変わらない。合併に反対していく」と答えた。(佐藤克史)
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