8%超…度数高めの缶酎ハイ増産 人気の秘密は“割安感”

 
アサヒビールはアルコール度数の高い缶チューハイの販売目標を引き上げる(都内のスーパー)

 ビール各社がアルコール度数が8%超と高い缶チューハイの販売を強化する。アサヒビールは主力ブランドの今年度の販売目標を25%上方修正するほか、サントリースピリッツやキリンビールも販売を増やす計画だ。節約志向を背景に家飲み需要が拡大するなか、ビールなどに比べて割安な缶チューハイの需要が高まっている。なかでもアルコール度数の高い商品は“安く酔える”として人気が高まっており、各社は消費をさらに喚起する狙いだ。

 他社に比べて缶チューハイが手薄だったアサヒは4月、アルコール度数が9%の新ブランド「もぎたて」を発売。販売が好調なことから増産し、今年度の販売目標を750万ケース(1ケースは250ミリリットル24本換算)に25%上方修正する。レモンなど4種類の味があるが、8月には「味を1種類追加する」(幹部)。

 サントリースピリッツもアルコール度数9%の主力ブランド「-196℃ストロングゼロ」の今年度の販売目標を、当初計画比で6%増の3150万ケースに引き上げた。

 また、「氷結ストロング」を展開するキリンビールは8月の生産を4割増やす計画で、各社が高アルコール度数の缶チューハイを強化する。

 業界の推計によると、2016年の缶チューハイの国内市場規模は1億6400万ケースと、前年比で9%増える見通し。なかでも「全体を牽引(けんいん)するのが高アルコール度数の商品」(サントリースピリッツで缶チューハイを担当する山本大輔氏)だ。

 人気の秘密は、その“割安感”だ。同じ容量の缶ビールと比べて3割程度安く、アルコール度数が2倍も高い。個人消費が冷え込むなか、「安く酔える」という商品性が節約意識を高める消費者の志向と合致した。

 高アルコール度数の商品が缶チューハイ市場全体に占める比率は、16年は34%と前年比で2ポイント上昇する見込み。5年前に比べると13ポイントも上昇する。

 ビール類の市場縮小が続くなか、メーカー各社は缶チューハイ市場を掘り起こし、収益の改善につなげる狙いもある。