「言うた者勝ち」の中国特許紛争 アップルを「パクリ」で訴えた“幽霊企業”
米アップルのスマートフォンが中国メーカーの製品に外観が酷似しているとして、北京市知的財産局は5月、北京市内での同製品の販売停止を命じた。超一流企業であるアップルを「パクリ」で訴えた中国企業は、さぞ立派な会社に違いないと思われるかもしれないが、実はスマホ市場からほぼ姿を消した“幽霊企業”であることが分かった。米メディアによると、親会社の放漫経営などがたたり、すでにこの会社は破綻。メーカーとしての事業活動を停止している可能性さえあるという。
中国・特許紛争は長期化も
ホンマにこの会社の製品にアイフォーンが似ているのか…。
そんな疑問を抱いてしまうが、そこは「言うた者勝ち」の特許紛争。アップルは完全アウェイの地でも、法廷戦を続けるしかないようだ。
「iPhone(アイフォーン)」の「6」と「6プラス」の外観が自社製品にそっくりだと特許権侵害でアップルを訴えているのは、中国メーカー「佰利(バイリ)公司」(広東省深●(=土へんに川)市)。縁が曲線のスマートフォンの上隅にカメラを配置したデザインで佰利は特許を得ており、こうしたデザインが2014年に発売されたアイフォーン6に似ていると主張していた。北京市知財局は5月、同社の主張を認め、北京市内での両製品の販売停止を命じた。
一方、アップル側は北京の裁判所に販売停止の取消を求めて提訴。「デザインは似ていないし、特権権を侵害していない」と真っ向、中国当局と争う構えだ。
司法判断が確定しない限り、アップルは販売を続けられるが、決着には長い時間がかかる可能性がある。
会社、つぶれてました…
アップルと争う佰利は、どんな企業なのか。世界企業を相手にひるむことのない強い姿勢からは、よほど技術や開発力に優れた企業と勘ぐってしまうが、実態は大きく異なるようだ。
「かろうじて存在している中国企業」。米紙ウォールストリートジャーナル(電子版)は会社の状態をこう表現した。
同紙によると、年次会計報告では、佰利と親会社の格安スマホを扱うディジオン(Digione)は、いずれも債務超過に陥り、破綻している。佰利の事務所があるはずの場所にはオフィスもなかったという。
投資家らによると、ディジオンは、製品欠陥や放漫経営、携帯電話市場での競争環境の激化がたたり、破綻を招いたとされる。
もはやメーカーとして、スマホを製造できるか、あやしい状況だが、特許紛争をやれる余力はあり、知的財産権の専門代理人を置いて、法廷闘争を継続する見通しという。
今後は、金銭的な解決を視野が入る可能性もある。
実際、2012年には、アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」の商標権をめぐる訴訟で、商標権所有を主張していた深●(=土へんに川)の企業とアップルが和解。アップルが6千万ドル(当時で約48億円)の和解金を支払った例がある。
サムスンは華為技術から訴訟
中国企業がからむスマホ知的財産権をめぐる紛争は目立ってきている。
中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)は5月、韓国・サムスン電子にスマホ関連の通信技術などの特許を侵害されたとして、同社を相手取り、米国と中国で訴訟を起こした。
韓国・ハンギョレ紙(日本語電子版)によると、米裁判所への訴状でファーウェイは、「サムスンが自社の11種類の特許権を無断で使用」と主張。「ファーウェイの技術で作った製品で数十億ドルの収益を得た」と訴えている。
ハンギョレ紙は、ファーウェイによる訴訟について、「ブランドを高めるための布石との解釈もされる」と指摘。「サムスンにに自社の特許を使われた」と訴え、技術力の高さを世界に広める狙いがあるとの見方だ。
景気減速がスマホ市場に影を落とす中、中国企業側の主張を認める判断が相次げば、安易に裁判で利益を得ようする企業が増えはしないか。スマホの世界市場は、サムスンとアップルの2強が席巻する中、中国メーカーの台頭が著しいが、勝負は「品質競争」による消費者の判断でつけてほしいものだ。
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