米ファンドのグラウカス、伊藤忠に「不正会計の恐れある」とリポート 伊藤忠は「適切に処理」と反論 株価は一時10%下げ

 

 米国の投資ファンド、グラウカス・リサーチ・グループは27日、大手総合商社の伊藤忠商事について「平成27年3月期の最終利益を少なくとも1531億円相当水増しした」と不正会計の恐れがあると主張するリポートを公表した。これに対し伊藤忠は「適切な会計処理を実施しており、当社の見解とは全く異なる」と真っ向から反論している。

 日本の上場企業でグラウカスの対象となったのは伊藤忠が初めてとみられる。伊藤忠株が値下がりすると利益が膨らむ「空売り」の持ち高があると説明しており、投資家に対し伊藤忠株の売却を推奨している。

 グラウカスは「伊藤忠は南米コロンビアの炭鉱に対する出資持ち分の価値が著しく下落していたにもかかわらず、不適切な(投資)区分の変更で、1531億円相当の減損損失の認識を意図的に避け、27年3月期の最終利益を過大報告した」と主張。中国の中国中信集団(CITIC)を持ち分法適用会社として利益を自社の連結業績に取り込むことなどについても疑問を投げかけた。

 伊藤忠は27日、グラウカスの主張に反論した上で、「当社の財務諸表は監査法人による監査を受けており、いずれも適正であるとの監査意見を取得している」などとコメントした。

 27日の東京株式市場では伊藤忠株が大きく売られ、午前中に一時、前日比126円50銭(10.0%)安の1135円50銭まで下げ、年初来安値を更新した。その後は値を戻して、終値は79円50銭(6.3%)安の1182円50銭だった。

 市場関係者からは「27日の市場反応ではグラウカスの主張が必ずしも正しいとみられている雰囲気ではなかったが、グラウカスが他の銘柄も標的としてくる可能性はある」(証券アナリスト)との声があった。

【用語解説】グラウカス・リサーチ・グループ

 米カリフォルニア州に本拠を置く、2011年設立の投資ファンド。上場企業の不正などを調べた上で、外部から借りた株を売り、株価が下がったところで買い戻す「空売り」と呼ばれる手法でもうけを狙うのが特徴。米国や香港、東南アジアで22件の投資実績があるとしている。日本に拠点はないが、投資経験のある日本人が在籍しているという。