日本車の牙城、東南ア停滞 中国経済減速で打撃
日本車が圧倒的なシェアを誇る東南アジアの自動車市場が停滞している。中国経済が減速し、主要な貿易相手国である東南アジア各国の経済が打撃を受けているからだ。スマートフォンの配車アプリの普及などで長期的に車離れが進む懸念もあり、日本の自動車メーカーが「牙城」の東南アジアで新たな対応を迫られる可能性もある。
◆長期化の恐れ
国際自動車工業連合会によると、2015年の東南アジア主要6カ国の自動車市場は前年水準を下回り、前年比約3%減の307万台。人口1億人前後のフィリピン、ベトナムが伸びる一方、2大市場のインドネシアとタイは不振だった。「タイの停滞が想定より長い。資源価格などの動向を見ると、来年も本格回復は難しい」(金融筋)
日本勢は、東南アジアで強固な地盤を築いてきた。タイ、インドネシアでは日本車のシェアが9割前後。競争に敗れた米ゼネラル・モーターズ(GM)は昨年、不振だった乗用車のタイでの生産を停止し、インドネシアでも工場を閉鎖した。米フォード・モーターも今年、インドネシアからの撤退を決めた。
ホンダの安部典明アジア・大洋州本部長は「長い年月、現地のために設計・製造し販売してきた。それが強みだ」と自信を示す。
◆車離れの動きも
その日本勢が危機感を抱くのが、技術革新による消費者の車離れだ。各国では配車アプリが台頭。タクシーより安く利用できるのが利点で、マレーシア発の「グラブ」はアジア各国で展開、インドネシアではバイクを配車する「Go-Jek」が人気を集めている。
市場調査会社ニールセンによると、モノを持たずITを活用してやりくりする「シェアリングエコノミー(共有型経済)」の選好度の高い消費者は東南アジアに多い。現在は車を持つことがステータスシンボルとなっているが、インドネシアの地元記者は「東南アジアは渋滞がひどく、移動はタクシーで十分という層が出てくる可能性もある」とみる。
足元の市場を取り巻く環境にも変化が起きつつある。経済成長による富裕層の増加で、主要6カ国に含まれないカンボジアでも高級車市場をめぐるドイツ勢との競争が激化。成長市場のフィリピンやベトナムでは、韓国の現代自動車が日本勢を猛追している。
自動車調査会社フォーイン(名古屋市)の中田徹氏は「日本勢の短期的な優位は揺るがないが、配車アプリや自動運転で市場環境が大きく変われば、ビジネスモデルの再考を迫られるだろう」と指摘している。(ジャカルタ 共同)
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