ハウス、カレーを中国の「人民食」に 需要ゼロから開拓、ライバルは撤退

 
中国各地のスーパーや展示会などで開かれる試食会でカレーライスの味を長年にわたって紹介してきたハウス食品上海法人の羽子田礼秀社長。試食会は年平均で2万回も行うという。中国市場での成功の秘訣は「成功するまでやり続けること」と話す(ハウス食品提供)

 ビジネス上のリスクも小さくない中国市場で、ハウス食品が年率20%を超えるカレー製品の成長を継続できると判断した背景には、カレーライスの認知度がほぼゼロだった1990年代の中国で販売をスタートし、地元の消費者に受け入れられる製品作りや販売ノウハウをさまざまな障害を乗り越えながら習得してきた、との強い自負がある。

 年2万回の試食会

 中国各地のスーパーの店頭で年平均2万回もの試食会を繰り広げ、子供や母親にカレーライスの味をアピール。同時に「八角(はっかく)」と呼ばれる中国の調味料を加えたり、ルウの色を黄色にしたりするなど、「バーモントカレー」を中国人好みの「百夢多●★」(中国での商品名)に生まれ変わらせてきた。

 その間にスーパー店頭で販売用の棚の確保をめぐる独特のコストなど日本とは異なる商習慣、厳しい監督官庁との交渉術も学んだ。

 1997年に上海市内でカレーレストラン1号店を開いて市場調査を始めた。2004年に上海法人を置いて05年に工場を上海市郊外で立ち上げ、中国でカレールウの本格販売をスタート。法人設立から8年かかって12年に黒字化を達成した。14年に遼寧省大連市に2カ所目の工場を開設。カレールウ生産能力を中国で年合計200万ケース(1ケースは30個入り)に拡大した。

 「日本の国民食カレーライスを中国13億人の“人民食”に育てる」(上海法人の羽子田礼秀社長)との理念も掲げ、その道筋も見えてきた。

 中国でカレー製品の売上高は昨年約35億円。さらに昨年買収した「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋の中国国内の直営54店舗も合わせ、今年は計65億円を見込んでいる。また、飲酒時に肝機能の改善作用があるという機能性飲料「ウコンの力」など、新たな製品や新規事業も相次いで投入され、続々と上積みされている。

 ライバルは撤退

 カレー関連で日本の本社が売り上げている規模を、中国市場での全体の売上高が30年までに超えるとの見通しもある。このことは浙江省平湖市での新工場建設に備え、現地法人を統括するハウス食品(中国)投資の資本金を約9000万ドル(約90億円)と本社資本金の約99億円に迫る規模に増資した点からも、本気度は高いと考えてよさそうだ。

 ただ、ライバルだったエスビー食品が昨年、遼寧省大連市で06年に開設したカレー関連工場の清算手続きを行って撤退。ハウス食品の中国市場での成功が約束されているわけではない。

 むしろ中国への過度の期待と高い依存度が、将来的に連結経営の上で重荷になる懸念もある。どこまで中国リスクを管理しながらバランスの取れた経営の采配が振れるかが、成長を維持するためのカギになりそうだ。(上海 河崎真澄)

●=口へんに加

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