出光・昭シェル合併計画 公益2団体が反対 創業家側、足場固める
出光興産と昭和シェル石油の合併計画に出光の創業家が反対している問題で、出光の大株主である公益財団法人の出光文化福祉財団と出光美術館は3日、理事会を開き、合併の是非を問う臨時株主総会で反対票を投じることを決めた。財団が保有する株式の議決権行使に必要な理事の賛成を「過半数」から「3分の2以上」に定款も厳格化し、全理事が合併反対に同意した。創業家側は合併阻止に向け足場を固めた格好だ。
文化福祉財団は出光株の7・75%、美術館は5%保有し、出光創業者長男の出光昭介名誉会長が代表を務める。これまで創業家側は出光の大株主として約33・9%の株式を保有していると主張してきた。これには、創業家が持つ約21%分のほか、2つの財団の持ち分計12・75%も含まれている。6月の出光の定時株主総会では、両財団とも創業家に同調して合併計画を進める月岡隆社長ら取締役の再任決議案に反対した。
出光が昭シェルと合併するには、株主総会で3分の2以上の賛成を得る必要がある。創業家と2つの財団法人が反対に回ることになれば、合併は阻止できる。逆に2つの財団のうち、片方でも合併支持に回れば、創業家側は合併阻止に必要な3分の1超の議決権確保が難しくなるという状況だった。
3日は、理事会に先だって開いた一般企業の株主総会にあたる両財団の評議員会でそれぞれ定款変更を行い議決権行使のハードルを高くした。公益性のある財団への寄付関連で税制優遇を受けるには、財団は議決権の行使に制限を設けるか、理事の「3分の2以上」の賛成が行使に必要と定めていなければならないからだ。創業家の独断で動いているような印象を打ち消すことも狙った。
その上で、両財団は理事会をそれぞれ開催。創業家代理人の浜田卓二郎弁護士によると、合併反対で全会が一致したという。
これを受け、出光は同日、「理事らに会社の考え方を説明する機会を設けさせてもらいたい」とのコメントを出した。
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