手で触れる三次元映像や体感スーツ…VRいっぱいの東京ゲームショウ
20周年を迎えた「東京ゲームショウ2016」は、ゲームの「未来と過去」に焦点を置いた。人工知能(AI)と仮想現実(VR)という最先端技術を活用したゲームなどを楽しめるコーナーが今回新設されたほか、今後ゲームへの活用が期待されている「触れることができる映像」など研究中の技術も展示された。その一方で、この20年のゲームの進歩を振り返り、懐かしの名作が楽しめるコーナーも設置された。
やっぱり人気の初音ミク
VR市場は2025年に800億ドル(約9兆円)規模に成長するとの試算もあり、「VR元年」ともいわれる今年は、各社が最先端のVRゲームを披露。新たな需要を掘り起こす起爆剤として期待が高まっている。
10月13日にゴーグル型端末「プレイステーション(PS)VR」を発売するソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が設置したブースには、VRゲームを体験する長い列ができた。
このほか仮想アイドル「初音ミク」のライブを鑑賞するゲームや、オオワシの視点でパリの大空を飛べるゲームなど多彩な作品が出そろった。
震動するスーツで音を感じる
会場全体では、戦闘やスポーツなどVR分野で110タイトルが登場。VR専門コーナーには6カ国・地域から35社が出展した。
「エンターテインメントの未来」と題したコーナーには、東京大や慶応大などが研究している、VRヘッドセットなしで直接手で触れられる三次元映像など、視覚や聴覚以外の触覚を重視した「身体性メディア」と呼ばれる技術が多数展示され、行列ができた。特に、「PS VR」用ゲーム「Rez Infinite」の音を多数のバイブレーションが着いたスーツで体感しながら、遊ぶことができるコーナーに注目が集まった。
AIはこれからか?
一方、AIのコーナーはわずか2社だけで、ゲームへの応用が広がり今年の目玉となっているVRとの差が際立っていた。無料通信アプリのLINEで、会話したりゲームしたりできる女子高生のAI「りんな」を開発、出展した日本マイクロソフトの担当者は「AIのみの出展は難しい。来年はゲーム会社との共同出展になるのでは」と話した。
第1回東京ゲームショウから現在に至るまでの名作ゲームを紹介するパネルには若いゲーマーも興味を持って集まった。懐かしいゲームを実際に遊べるコーナーもあり、古くからのゲーマーが足を止め、最新技術との差に驚いていた。
VRやAIの応用がさらに広がることで、想像を超えたゲームの世界が今後も広がりそうだが、一過性に終わらせないゲームクリエイターの熱意が問われそうだ。
◇
出展社数は過去最多の614社で、うち345社は海外企業で半数を超えた。15~16日は報道、関係者向けの公開で、一般公開は17~18日。入場料(中学生以上)は当日1200円、小学生以下は無料。主催者は23万人の来場を見込む。
関連記事