新電力への切り替え、半年で3% 東電から108万と全体の半数超
経済産業省の認可法人「電力広域的運営推進機関」は7日、電気の購入先を大手電力から新電力に切り替えた全国の申込件数が、9月末時点で188万4300件だったと発表した。4月に家庭向けの電力小売り全面自由化が始まってから半年が経過。都市部での切り替えが進んだ一方で地方は出足が鈍く、申込件数は総契約数(6260万件)の3・0%と伸び悩んだ。
来年4月には都市ガス小売りの全面自由化を控える中、各社は独自色を出したサービス強化に躍起だ。
大手電力各社の管内別では、東京電力からの切り替えが108万1千件と最多で、全体の半数を超えた。関西電力の38万900件、中部電力の14万6300件が続いた。一方で、北陸電力(6千件)と中国電力(7700件)は1万件に満たなかった。「低廉な電気料金プランを用意したのに加え、新電力の強力なライバルもいなかった」(北電)のが要因とみられる。
新電力への参入企業は大手都市ガスや石油元売り、通信事業者が多く、自社の販売網や商品を生かしたサービスで新規顧客の取り込みを狙った。
だが、月ごとの契約件数は3月までの事前申し込みが約51万件、4月の約31万件に対し、9月は約21万件とペースが鈍化。半年間の契約件数が48万件を超え、新電力の“最大手”となった東京ガスも、足元では1日1千件程度にとどまっていることを明かし、「踊り場というか、壁にぶち当たっていると認識している」(広瀬道明社長)と懸念を口にする。
新電力各社はユニークな商品で大手電力との差別化をアピール。東急沿線エリアの住民をターゲットにする「東急パワーサプライ」(東京)は東急カードのポイントが貯まったり、ケーブルテレビの利用料が割り引かれるなどの特典を付けた。ガスと電気のセット割引が好調な東ガスもメニューの充実を検討する。
新電力の攻勢を受け、関西電力が1日から新たな値下げプランを始めるなど、大手電力と新電力のシェア競争は今後も激化必至とみられる。
さらに、来年4月に始まる都市ガス小売りの全面自由化も追い風となりそうだ。日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎シニアスペシャリストは、「ガス自由化が始まることで新電力のサービスも多様化し、消費者の認知度も高まっていく。初年度から2年間で10%程度のシェアに達するのではないか」と“相乗効果”に期待感を示している。
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