ソフトバンク 「LoRaWAN」使ったIoT 設備とサービス一体提供
◆世界400企業が参加
ソフトバンクは、今年度中から、高速移動通信回線「LTE」の10分の1以下の電力で使えるIoT(モノのインターネット)向けの無線通信規格「LoRaWAN(ローラワン)」を使ったIoT環境の構築を提供する事業を始める。英半導体開発大手アーム(ARM)・ホールディングスの約3兆3000億円という巨額買収でIoT社会の到来に備えるソフトバンクは、低消費電力の通信やサービスでIoTを推進する。
水道やガスのインフラ設備や工場の機械などの稼働状況を確認、点検するセンサーをつなぐネットワークは、1度にやり取りする情報量は小さいが、多数のセンサーが必要。長期間稼働させるため、省電力も不可欠だ。こうした設備でのIoT環境の構築には、低消費電力と幅広いエリアをカバーできるLPWAと呼ばれる無線通信規格が必要となる。ソフトバンクのサービスプラットフォーム戦略・開発本部戦略1課の沓野剛課長は「ローラワンはLPWAのうちでも、各国で約400の企業が参加しているため、対応したセンサーなどの製品も多いことなどから採用した」と話した。
ローラワンの具体的なメリットは、(1)1つの基地局で数万~十数万のセンサーとやり取りできる(2)免許が不要でネットワークを構築できる(3)近距離無線通信規格のブルートゥースよりも広い、数キロメートルの距離をカバーできる(4)1度の充電で10年は稼働できる基地局の省電力性(5)センサーを1個当たり数百円で準備できる-などがある。ただ、ソフトバンクは、こうしたローラワンのネットワークやセンサーなどの設備だけを提供するのではない。「IoTを使って何をしたいのか」などのコンサルティングからサービス提供を開始。工場の設備や施設管理など専門性の高い事業については、他事業者とも連携しながら、具体的なIoTソリューション(解決策)を提供していく。
◆アーム買収で事業の柱に
ソフトバンクは、ローラワンに対応した設備やソリューションの提供に続き、IoTに使う通信規格としてCat-M1やNB-IoTといった別規格の設備やソリューションについても提供に向けた準備を進めている。これらの規格は、ローラワンよりも高速でデータ通信ができるため、高齢者の見守りのような、映像や音声を通信するサービスの提供に適しているという。提供するサービスに応じて最適なIoT通信規格と設備を用意する。
ソフトバンクは7月にアームの買収を発表し、IoTを事業の柱に据える方針を示している。アームの半導体チップは、IoT環境で不可欠な温度センサーなどの多種多様なデバイスに搭載されている。また、アームは、数万、数十万というセンサーがつながるため、サイバー攻撃のリスクも上がるIoTの時代に対応できるセキュリティー技術も備えている。
ローラワンのIoTサービスの提供は、こうしたソフトバンクの今後の事業展開に沿ったものといえ、低消費電力の設備や通信だけでなくソリューションまで一体的に提供することで、環境に配慮しながら、IoTビジネスの最大化を狙っていく考えだ。
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