円高逆風も…中間決算、製造業は「健闘」 企業はトランプ氏の政策注視

 

 東京証券取引所第1部上場企業の平成28年9月中間決算は、円高が重くのしかかったことで4年ぶりの営業減益となる見通しで、厳しい経営環境が浮き彫りになった。ただ、前年同期に比べ一時は20円超の急激な円高が進んだ割に、製造業の業績は底堅いとの評価もある。米国では共和党のドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まり、日本企業は新政権が打ち出す政策の行方を注視している。(森田晶宏)

 円高は自動車や電機といった輸出型の製造業にとって逆風となる。トヨタ自動車は為替変動が営業利益を5650億円押し下げた。29年3月期予想でも営業利益を1兆800億円減らす要因になるとしている。

 ただ、SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは「これだけ強烈な円高が進んだ割に、製造業は健闘していると言っていい」と評価する。

 トヨタはコスト削減効果などもあり、29年3月期の営業・最終利益の予想を上方修正した。日立製作所は、下期の想定為替レートを1ドル=100円と従来想定から大幅な円高方向に見直したものの、「上期が計画よりも上振れて着地したのに加え、コスト削減などで挽回できる」(同社)として、29年3月期の業績予想は据え置いた。

 一方、海運や鉄鋼など、市況悪化に苦しむ業種もある。海運大手の28年9月中間決算は、日本郵船と川崎汽船が最終損益で赤字に転落し、営業損益は商船三井を含めた3社とも赤字。29年3月期の最終損益予想も日本郵船と川崎汽船が大幅な赤字を見込んでいる。

 小売業などの業績を下支えしていた訪日外国人客の消費にも陰りが出ている。セイコーホールディングスの中村吉伸社長は「腕時計や貴金属などから、違うところに消費が移っている感じだ」と変調を指摘。訪日客の買い物の対象が、高額品から手頃な価格の日用品などにシフトしていることが背景にあるためだ。

 下期は円高の悪影響が薄れ、企業業績は回復に向かうとの見方がある。一方、米国では過激な主張を訴えてきたトランプ氏が大統領選で勝利。新政権が打ち出す政策の中身によっては、日本企業の北米での戦略にも影響が生じかねない。

 パイオニアは、来年2月に米国の隣国メキシコで自動車向けスピーカーなどを生産する工場を稼働する予定。ただ、トランプ氏は選挙戦で、米国やメキシコ、カナダが結んでいる北米自由貿易協定(NAFTA)を強く批判した。小谷進社長は「どのような政策をとるのか分からないが(取引先の)自動車メーカーがどう動くのかが問題だ。(新工場が)計画通りいくのを願っている。動向を注視したい」と警戒感を示した。