OPECも注視か エネ長官に「シェール革命」ハム氏が浮上

トランプ氏勝利
コンチネンタル・リソーシズのハロルド・ハム最高経営責任者(ロイター)

 化石燃料の開発推進を掲げたドナルド・トランプ氏が次期米大統領に決まり、米国内のシェールオイル・ガス業界は活気付きそうだ。新政権のエネルギー長官候補には、シェール生産大手コンチネンタル・リソーシズのハロルド・ハム最高経営責任者(CEO)が浮上。実現すれば原油生産シェアで火花を散らす石油輸出国機構(OPEC)の脅威になる。

 「クリーンエネルギーを推進するオバマ政権とは真逆を行くものだ」。政府関係者は、トランプ氏の政策についてこう指摘する。

 選挙期間中、トランプ氏は石油・天然ガス・石炭の国内生産増加▽オバマ大統領が認めなかった米国とカナダを結ぶ原油パイプラインの建設▽地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」からの脱退-など化石燃料重視の政策を次々と掲げた。

 ハム氏はトランプ氏のエネルギー顧問で、米国を世界最大の原油生産国にしたシェール革命の立役者の一人。閣僚となればエネルギー業界への減税やシェール資源の採掘技術「水圧破砕」の規制緩和などが見込まれている。

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之・主席エコノミストは、政策が実行に移れば「シェールの開発コストが下がり生産量が増える」と予想。パイプラインの敷設を受けてカナダでもオイルサンド(油砂)からの原油生産が増大しそうだ。

 北米の生産増は下落した油価の立て直しを図りたいOPECの障害となり、サウジアラビアなど親米産油国の米国離れにつながる可能性がある。一方でトランプ氏が就任後もイランとの核合意破棄を含む過激な発言を続ければ、逆に地政学的リスクが高まり原油価格が上昇する恐れもある。

 油価の安定を望む日本企業にとって、当面は気の抜けない状況が続く見通し。

 パリ協定は発効後4年間は抜けられない規定で、脱退は難しい。だが、米国が消極的になれば世界の温暖化対策は足踏みし、特に途上国への資金支援は日本を含む先進国の負担が増える恐れがある。(田辺裕晶)