孫社長、トランプ氏まで“利用”するしたたかさ 電撃会談は米携帯大手の再買収地ならし?

 

 ソフトバンクグループの孫正義社長がドナルド・トランプ次期大統領と会談したことは、10兆円規模の投資ファンドを通じて、あらゆるモノをインターネットにつなげる「IoT」や人工知能(AI)などの次世代技術に投資し、新しい商機をとらえるための地ならしとみられる。トランプ氏が進めるとみられる規制緩和を背景に米国企業との連携を加速する構えだ。次期大統領まで“利用”し、ビジネスの拡大に結びつけようとする孫社長。スケールの大きなしたたかさを改めて印象づけた。

 「規制緩和を実行してくれる」

 孫社長は会談後、記者団にトランプ氏への期待を表明するとともに、投資先は米国の新興企業が中心になることを明らかにした。使っていない時間に車や部屋を貸し出す「シェアリングエコノミー」が台頭したように、規制緩和がベンチャーの事業拡大を左右するケースは少なくない。

 ソフトバンクグループは10月に投資ファンドの設立方針を発表した。明言はしていないが、今回表明した投資は、このファンドから行われるとみられる。巨額の有利子負債を抱えるソフトバンクが、外部資金を活用することで高水準の投資の継続を可能にする戦略だ。

 孫社長は「AIが人間の知能を超える『シンギュラリティ』により、新しいチャンスが生まれる」としているが、AIやIoT関連の技術はシリコンバレーなど米国の新興企業が先行している。今年買収した英半導体設計大手アーム・ホールディングスを米有力企業と連携させ、新ビジネスの主導権を握る狙いとみられる。

 孫社長は11月7日、都内の決算会見で直後に迫った米大統領選について問われ、「選挙結果が直接的な影響を与えるものではない」とそっけなく答えていた。しかし、トランプ氏が当選すると一転、電撃的な会談を実現する変幻自在ぶりだ。

 7日の東京株式市場でソフトバンクグループの株価は6.2%上昇し、今年の最高値を更新した。

 市場では、2014年に米規制当局によって阻止された米携帯大手Tモバイルの買収について、「新政権では認められる可能性がある」(アナリスト)との臆測も出ている。