“イクメン対応”のベビー休憩室が増加 父親6割、外出時におむつ替えなど利用

 
大型商業施設「MARKISみなとみらい」のキッズスペースを利用する家族連れ=6月、横浜市西区

 ショッピングセンターなどで、赤ちゃん連れの男性でも利用しやすいように配慮されたベビー休憩室が増えている。背景には、子育てに積極的に参加する「イクメン」の増加もあるとみられ、施設側も常連客としてファミリー層を取り込む狙いがある。

 盛況なスペース

 明るい色調のマットの上を赤ちゃんがよちよち歩き、積み上がった柔らかいブロックが倒れるとうれしそうに笑った。2013年6月に横浜市西区に開業した大型商業施設「MARK IS みなとみらい」。3階のキッズスペース「おやこの森」はいつも大盛況だ。

 140平方メートルに、滑り台などの乳幼児用スペースが広がる。母親が買い物中なのか、子供を見守る男性の姿も多い。

 施設によると、一角のおむつ替えゾーンは、男性も利用しやすいように扉を設けず、オープンな設計にした。哺乳瓶での授乳用に給湯設備や洗い場を用意。女性が母乳を直接与えるスペースだけを扉付きにして、男性の入室を禁止にした。

 需要の変化

 「子連れ客のニーズを熟考してつくった」と話すのは同施設の白井杏奈さん。「ここを目的に来店する家族連れも多く、全体の集客増につながっている」と強調する。

 男性の利用しやすさを意識したことが奏功しているのか、実際に施設の各フロアには、ベビーカーを押した家族連れや、幼児の手を引いた男性などの姿が目立つ。2歳の娘を抱っこした自営業の男性(39)は「外出する際にはベビー休憩室があるか必ず調べる」と話した。

 東京都文京区で公共トイレなどを手掛ける設計事務所「ゴンドラ」の小林純子代表によると、おむつ替えなどのためのスペースは、30年ほど前は女性用トイレの一角に設けられることが多かった。その後、男性も利用できるようにとの要望が強くなり、トイレと別に設計するケースが増えた。父親がおむつ替えをしている間、母親が外で待っている光景も見られる。

 育児用品大手コンビ(東京)が、乳幼児を持つ親を対象に、12年に実施したアンケートでは、7割近くが週に1回以上、乳幼児を連れて家族で外出し、6割近い父親がおむつ替えなどのため、ベビー休憩室を利用している。

 小林さんは「家族連れに来てもらいたいという商業施設側の狙いと、社会的な需要が一致して、設備が充実してきている」と分析している。