正義のハッカーに若者関心 大会盛況 サイバー攻撃対策の人材育成に

 

 政府や企業へのサイバー攻撃対策に役立つ技術を競う国内最大のハッカー大会「SECCON(セクコン)」が盛況だ。10~11日に開いたオンライン予選には世界99カ国・地域から約4350人が参加し、過去最大の規模となった。大学生など若者が目立つ。「ホワイトハッカー(正義のハッカー)」を育成するのが目的で、IT企業は人材発掘の場として注目している。

 11月下旬、金沢工業大(石川県野々市市)でセクコンへの出場を目指す入門者向けのイベントが開かれた。主催者が用意したセキュリティーの問題に挑む「クイズ型」競技の演習が行われ、約70人が真剣な表情でノートパソコンに向かった。

 参加者は、学生と社会人が半々。金沢工業大工学部の三嶋秀宗さん(22)は独学で技術を学んでいるといい「腕試しができて楽しかった。将来はセキュリティーにかかわる仕事をしてみたい」と目を輝かせた。

 セクコンは、NPO法人「日本ネットワークセキュリティ協会」が主催し、総務省や警察庁などが後援する。入門イベントも人気で、10月に東京で開いた際は100人の枠に約400人が応募し、抽選となった。

 競技には「クイズ型」のほか各チームが互いのサーバーを攻撃・防御し合う「攻防戦型」がある。攻撃側の思考法を学ぶことで、先回りした防衛策につなげる。米国やロシア、中国、韓国、台湾などでも盛んで、各国が技術レベルの向上に生かしている。

 セクコンは2012年に開始。初回は学生限定で参加者は160人だったが、オンライン予選を取り入れ、英語でも出られるようにしたことで急拡大した。今大会の決勝は来年1月28~29日に東京電機大で開く。

 セクコン実行委員会の園田道夫事務局長は、ゲーム形式になっている点が最大の特長だと語る。「点数が付き、勝ち負けがある。人のやる気をかき立てている」と、若者らに人気が出た理由を解説した。

 セクコンに出場した電気通信大や東京農工大などの学生でつくるグループが、自らの手で国際大会を主催した例が出ており、「草の根にも広がり、ムーブメントになってきた」(園田氏)。

 サイバー攻撃に対応できる人材は日本では特に不足しているとされる。このためセクコンで企業と学生が出会い、就職につながるケースもある。

 今年のスポンサーになったインターネットイニシアティブ(IIJ)の伊藤良孝セキュリティオペレーションセンター長は「セキュリティーマインドを持った若い人を見つけたい。できれば入社してもらい、さらに現場で育てたい」と話した。