日立建機社長・辻本雄一さん(63)

2017成長への展望

 ■バリューチェーン強化、米中に注視

 --米大統領にドナルド・トランプ氏が就任した

 「建設機械業界にとってプラスとマイナスの両方が考えられる。米国でインフラ投資が活発化したり、シェールガスの生産計画が再び動き出す可能性がある点はプラスで、実際に一部レンタル会社が(インフラ投資拡大を見越して)早めに確保したりしている。一方、米中関係が悪くなると、回復しつつある中国販売に水を差す可能性がある」

 --市場環境は

 「2015年度に油圧ショベルの需要がリーマン・ショック直後の09年と同水準まで減少したが、今年度は前期比でプラスに転じている。鉱山機械はさらに回復が遅く、今年度の新車販売はまだ前期を下回っている」

 --中国の建機市場は底を打ちつつある

 「中国では外資系メーカーの需要が15年度に1万9000台あった。16年度は当初1万8000万とみていたが、2万2000~2万6000台ぐらいに増えそうだ。11万台ぐらいあったピーク時の10年には遠く及ばないが、反転の兆しはある」

 --現在、豪ブラッドケンのTOB(株式公開買い付け)を行っているほか、米H-Eパーツを昨年12月に買収した

 「建機や鉱山機械の販売やレンタルだけでなく、消耗部品提供や保守などのアフターサービスを含むバリューチェーン全体で強化していくのが基本戦略だ。ブラッドケンは主に消耗部品、H-Eパーツは保守を鉱山機械中心に手掛けているが、アフターサービスは新車ほど需要が変動せず、安定的に稼げる。H-Eパーツは主に豪州と米国で事業展開している。それ以外の地域でも展開している当社とは地域的な補完も築ける」

 --中国では生産縮小を進めた

 「昨年9月に安徽省合肥市にある工場の第2工場を閉鎖した。需要は回復しつつあるとはいえ、ピーク時より80%以上も少ないので適正な規模にした。年3万台の能力があり、仮に需要が増えても対応できる」 

 --14年度にスタートした3カ年の中期経営計画は目標達成が難しい状況だ

 「計画を立てたときと市場環境が大きく違ってしまった。増えるとみていた中国は逆に大幅減となった。ただ、財務体質が強化されたのは大きな成果だ。企業買収にも動けたし、中国の生産も再編できた。4月にスタートする次期中期計画では、需要が伸びないことを前提にどう売り上げを増やすか考える」

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【プロフィル】辻本雄一

 つじもと・ゆういち 阪大院修了。1979年日立建機入社。日立建機(中国)有限公司董事総経理、執行役、取締役兼執行役常務などを経て2012年4月から現職。大阪府出身。