世界が驚くVRベンチャーを送り出せ! インキュベーション施設「Future Tech Hub」誕生

 
鼻に近い場所に取り付けられたデバイスから匂いが漂う「VAQSOVR」

 2017年に入ってますます盛り上がるVR(バーチャルリアリティ)。世界中の企業が画期的なソフトや、使いやすいハードを送り出そうと日々開発を続けている。そんなVR市場に日本から打って出ようとしている人や企業を支援するインキュベーション施設「Future Tech Hub」が昨年末に誕生。インキュベーターのブレイクポイント(東京都千代田区)が立ちあげたもので、東京都中央区の新川にある施設では、入居者たちが新しいVRの開発に挑んでいる。

 「Future Tech Hub」は、ゲーム企画・販売のgumi(東京都新宿区)が出資して2016年1月に立ち上げた、VRインキュベーションプログラムを提供するTokyo VR Startupと提携して発足した。Tokyo VR Startupとgumiが運営パートナーに名を連ね、これまで1年近くにわたってVRスタートアップを支えてきたノウハウを注ぎ、世界に通用するVRスタートアップを送り出す。

 「Future Tech Hub」には、高機能VRヘッドマウントディスプレーのHTC Viveや、サードウェーブデジノスが提供するハイスペックPCのGALLERIAなど、VRの開発に必要な環境が用意されている。VR関連コミュニティとの接触機会を提供し、イベントや体験会も開いて、入居者が最先端の情報に触れながらVR開発に専念できるようになっている。

 「Future Tech Hub」にはスタート時点で5社が入居し、VRコンテンツやサービスの開発に当たっている。「VRビジネスの衝撃-『仮想世界』が巨大マネーを生む」の著書を持つジャーナリストの新清士氏が立ち上げた「よむネコ」も入居。国内外のゲームイベントに出展して評判となっているVRゲーム「エニグマスフィア~透明球の謎~」の改良などに取り組んでいる。

 COVERはVR卓球ゲームを開発。VRヘッドマウントディスプレーを装着した2人が並んで立つと、VR空間では卓球台を挟んで向かい合った形になり、そこからコントローラーをラケットに見立ててボールを打ち合って遊ぶ。ボールがラケットに当たった感触なども再現しており、バーチャルながら本当の卓球をしている気分になれる。

 桜花一門では、VRホラーゲームを提供。薄暗い空間の中をゆっくりと進みながらミッションを果たす内容で、見えないところからゾンビが迫ってくる感じを味わえる。杖をつきながらゆっくりと進んでいく、という操作方法も研究中。ゾンビを銃やナイフで撃退するアクションとは違い、暗闇をおそるおそる進んでいくようなプレースタイルで、一層の恐怖感を与えることができる。

 昨年12月の「Future Tec Hub」オープンに際して、gumi社長の國光宏尚氏、Tokyo VR Startup取締役でもあるよむネコ代表取締役の新清士氏、Tokyo VR Startupのプログラムに参加し、「Future Tech Hub」にも入居した桜花一門代表の高橋建滋氏が登壇。「VRスタートアップとエコシステムの今」についてトークを行った。

 世界でアプリゲームを展開するgumiの國光氏は、コンテンツ開発に当たって、GearVRやOculusRiftといったVRハードの普及具合を見て何を作るかを決めるのは間違いと指摘。「3年後はこうなる。だから1年後、2年後に向けて何を積み上げていくのが重要」と話して、あらかじめ予測した将来に向かって進み続ける必要性を訴えた。

 「Future Tech Hub」のようなインキュベーション施設の利点については、桜門一家の高橋氏が、箱崎にあったTokyo VR Startup時代の経験を元に、「へこんだときに愚痴を言える相手がいる」ことを挙げた。よむネコの新氏は、「VRは場所を食う。箱崎ではヘッドセットを付けて腕を回すと、誰かを殴るような狭い中で開発してきた」と話し、広いスペースを確保できる「Future Tech Hub」の登場を歓迎した。

 今後も入居者は増やしていく予定。VRによる革新という同じ目的を持った人たちが、同じ場所で情報交換を行い、開発状況を見守りながらスピーディーに新しいもの、画期的なソフトやサービスを生み出していく拠点になりそうだ。

 個人で世界に打って出ようとしているVR起業家もいる。匂いを使ったプロモーションを行っているザーズ(東京都千代田区)では、米国のサンフランシスコにVAQSOという会社を設立。ここからVRの世界にリアルな匂いを持ち込む画期的なデバイス「VAQSO VR」を送りだそうとしている。

 「VAQSO VR」は、様々な匂いが染みこんだシートを内蔵したデバイスを、VRヘッドマウントディスプレーのゴーグル下部に取り付け、ゲームなどコンテンツの進展にマッチする匂いを漂わせるという仕組み。例えばシューティングゲームでは、飛んでくる桃を銃で撃つと桃の匂い、樽を撃つと爆発して火薬の匂いを漂わせることができる。VAQSOではスタートアップ企業に理解がある北米などで資金を集めつつ、日本で開発を進めて2017年中のリリースを目指す。