ソフトバンク孫社長、米携帯大手買収“再挑戦”に含み トランプ氏の移民規制にはノーコメント
決算説明会でソフトバンクグループの事業の状況を話す孫正義社長=8日、東京都中央区(高橋寛次撮影)
ソフトバンクグループの孫正義社長は8日の決算会見で、米オバマ政権下の規制当局の判断で断念した米通信大手Tモバイルの買収に関して「あらゆる再編について柔軟に考える」と述べ、トランプ政権下での“再挑戦”に含みを持たせた。また、同政権に関し、移民規制などについてはコメントせず、「さまざまな規制が緩和されれば事業活動はやりやすくなる」と改めて期待感を表明するなど、良好な関係を構築したい思惑をにじませた。
Tモバイル買収への関心について聞かれた孫社長は「スプリントが立ち直り、単独、自力で走るのも立派な選択肢の一つだ」と強調した。その上で「合従連衡により、新しい企業価値が生まれることもある。あらゆる可能性について心を開いて検討する」と述べた。
孫社長は平成25年、米携帯大手スプリントを買収した。Tモバイルも買収、両社を統合することで、米国での携帯事業を有利に運ぶ戦略だった。
当時の米連邦通信委員会(FCC)はTモバイルの買収を認めなかったが、同委はトム・ウィラー委員長が退任、規制緩和による市場競争を重視するアジット・パイ氏が後任に指名された。「共和党政権は一般的に、通信規制緩和に積極的」(総務省幹部)なことも追い風になりそうだ。
一方で孫社長は、日頃ははっきりモノを言うにもかかわらず、トランプ政権の政策に関する質問に対しては「政治的な問題のコメントは差し控える」として、ノーコメントを貫いた。移民規制をめぐってはアップルやグーグルなどの米IT企業は反対姿勢を鮮明にしている。
しかし、就任前のトランプ氏と会って約束した「5年間で米国への500億ドル(約6兆円)の投資と5万人の新規雇用」に関して、「雇用は着実に増える」とし、すでに8千人を確保したことを強調した。
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