音楽館と日本信号、鉄道ホームドア共同開発 4割軽量化、設置コスト半減
鉄道シミュレーター開発の音楽館(東京都品川区)は鉄道用信号大手の日本信号と共同で新型ホームドアを開発した。今秋にもJR九州で実証試験を行う。従来のホームドアに比べ4割軽量化し、設置費用も半分程度に抑えられるとみられている。ホームからの転落事故が問題になっているが、実用化されれば設置費用負担の大幅な軽減が期待される。
パイプで鉄扉代替
音楽館のホームドアは従来の鉄扉の代わりに、左右から伸びるパイプを互い違いに組み合わせる仕組み。戸袋も小さくして軽量化を図った。2年ほど前に、音楽館の向谷実社長が左右の手の指を互い違いに合わせていたときにひらめき、すぐにグラフィック担当スタッフにデザインを描かせた。
2015年11月に開かれた鉄道関連総合見本市「第4回鉄道技術展」(フジサンケイビジネスアイ主催)に試作品を展示したところ、当時副社長だった日本信号の塚本英彦社長の目に留まり、その場で両社が量産化に取り組むことで合意した。
製作に当たって、日本信号のスマートセキュリティ営業部、南順一部長は「向谷氏のホームドアに対する考え方、コンセプトをできる限り忠実に守ることを意識した」と話す。
開閉時に鳴らす警報音の代わりに、メロディーを流すことで扉の状況を目の不自由な人にも認知しやくするといった工夫も施した。
ただ試作品のままでは国土交通省の指針に合致しないため、左右4本ずつのパイプを4本と5本の組み合わせに変え、最上部と最下部のパイプ内にアルミを詰めた。またホームドア自体の大きさも一回り大きくすることで、指針をクリアした。
従来の鉄扉型ホームドアはドア1枚で重さ約400キロだが、日本信号による試作機は約240キロと40%軽くした。
補強工事が不要
またホームドア設置には、ホームの補強工事が必要となる場合が少なくない。そのため設置費用がかさみ、ホームドア普及のネックとなっているが、このホームドアでは補強工事の必要がないという。
共同開発した試作機を今年秋、JR九州の筑肥線九大学研都市駅(福岡市西区)に納入する。日本信号スマートセキュリティ営業部では「最初から実際の使用を前提とした初号機」(南部長)と位置づけている。
近年、目の不自由な人などが犠牲となる人身事故がたびたび起きている。国交省は1日10万人以上が利用する駅にホームドアを優先的に設置するよう鉄道各社に求めている。
だが、利用客が少ない駅でも、特急列車が高速で頻繁に通過するなど、目の不自由な人が危険にさらされるケースは少なくない。
音楽館の向谷実社長は「目の不自由な人から『駅に行くのが怖い』という話を聞いた。誰もが気持ちよく列車に乗り降りできるような世の中になってほしい」とホームドアに込めた思いを語った。
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