
米テキサス州の高速鉄道計画で採用される新幹線システムに使われる見通しのJR東海のN700系車両【拡大】
まもなく誕生するトランプ米政権のもと、日本の高速鉄道輸出が分岐点を迎えた。トランプ氏はインフラ整備自体には前向きで、JR東海が支援するテキサス計画では追い風が期待できそう。一方で、公共事業となる東海岸やカリフォルニアの計画は財政拡大を嫌がる共和党がブレーキをかけるとの指摘もある。果たして政権交代は吉か凶か。
「『フロリダの悪夢』はもうごめんだ。トランプ氏のキャッチフレーズ『偉大な米国』に欠かせないのがインフラ整備。高速鉄道はその要になるはず」
国土交通省の関係者はそう強調する。「フロリダの悪夢」とは、フロリダ州で進められていた高速鉄道計画。110億ドル強を見込んだ総事業費など注目度が高く、JR東海など新幹線を擁する日本の企業連合が受注を狙った。しかし、2011年に共和党系のスコット知事が「計画は納税者にコストが高くつき過ぎるおそれがある」として連邦予算の受け入れを拒み、頓挫した。
あれから時は流れ、奈落の底に突き落とされた日本企業が元気だ。筆頭がフロリダで最大の苦汁をなめたJR東海。昨年10月、同社が支援するテキサス州の高速鉄道計画を後押しするため、ダラスに設立した現地法人「ハイスピードレイルウェイ テクノロジー コンサルティング(HTeC)」が業務を始めた。
同州の高速鉄道はダラス~ヒューストン間(約)を結ぶもので日本の新幹線方式を採用。22年の開業を目指している。ただ、JR東海は事業を丸抱えするリスクは回避し、開発主体の地元企業を技術面などで支援し、出資する場合も小額にとどめる見通しだ。