東芝半導体、1兆円の買収合戦に 世界的IT大手数社が参戦に意欲
東芝の本社ビル=東京都港区芝浦(撮影・大竹信生)
経営再建中の東芝が進める半導体事業の売却に、世界的なIT大手数社が関心を示していることが21日、分かった。実際に入札手続きに参加すれば、既に名乗りを上げた電子部品大手や投資ファンドも含め、1兆円規模の買収合戦になることが予想される。
売却対象の半導体は、スマートフォンなどの記憶媒体に使われる「フラッシュメモリー」だ。東芝関係者によると「顧客から(買収に向けた)提案が数件あった」といい、このメモリーを重要部品に位置付けている米アップルやマイクロソフトが取り沙汰されている。
東芝は、半導体事業の価値を2兆円規模と見込む。分社化後の株式の過半数を手放す方針で、売却時期は2017年度中を想定している。入札手続きは24日にも始まる予定だ。できるだけ高値で売り、米原発をめぐる巨額損失で悪化した財務状況を一気に立て直したい考えだ。
三重県四日市市の主力工場に共同で投資する米ハードディスク大手ウエスタン・デジタルのほか、韓国の半導体大手SKハイニックス、シャープを傘下に収めた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、欧米系の投資ファンドなどが参加に意欲を示している。
IT大手が事業の主導権を握った場合、半導体の調達の安定性が増したり、性能面で競合に差をつけたりする効果が期待できる。ただ特定メーカーによる支配が強まると、これまでの供給先の一部が離れるといった悪影響が出る恐れもある。東芝は株を100%売ることもあり得ると説明。従業員の雇用維持を条件とするなど、社内外の不安にも配慮しながら慎重に進める。
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