鴻海とシャープ、中国・広州で来年末に8Kテレビ量産開始へ 郭会長、東芝半導体分社への出資「真剣に検討」
【広州=石川有紀】昨年8月にシャープを買収した台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業は1日、中国・広州市で新設する世界最大級の液晶パネル工場の起工式を行った。同市内で会見した鴻海の郭台銘会長は「2020年の東京五輪には、日本人だけでなく全世界の人が8Kテレビをみる」と述べ、18年末にも世界初となる超高精細の8K液晶テレビの製造を開始する意向を示した。
広州市と共同で610億元(約1兆円)を投じ、世界最大のガラス基板を使う「10・5世代」と呼ばれる工場で約1万5千人の雇用を創出。シャープと鴻海が共同運営する液晶パネル製造会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)が運営し、シャープブランドで65インチと75インチの8Kテレビ用パネルを中国市場や全世界向けに生産する。SDPの「10世代」工場で大型パネルを効率良く製品化してきたシャープの液晶技術とブランドを生かし、パネルから製品までの一貫生産体制を構築する。
鴻海は受託製造業(EMS)の最大手で、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などを中国で生産して売上高15兆円規模に成長した。鴻海は製造業の国内回帰を目指すトランプ米大統領の意向を受け、シャープと共同で米国での液晶工場建設も検討している。
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【広州=石川有紀】台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘会長は1日、経営再建中の東芝が分社化する半導体事業への出資提案を「非常に真剣に考えている」と強い意欲を示した。中国・広州市で開いた液晶工場起工式で記者団に語った。郭氏が公の場で買収の意向を表明したのは初めて。
昨年8月にシャープを買収した郭氏は「日本のパートナーといかに協力すれば成功できるかよく理解している。われわれは東芝を助けて市場を拡大できる」と述べた。
東芝が分社化するのはスマートフォンなどの記憶媒体に使う「フラッシュメモリー」事業。東芝は事業価値を2兆円規模と見込んでおり、株式売却により米原発事業の巨額損失を穴埋めする。郭氏は「(買収条件の)詳細はまだわからない」と買収提案額について明らかにしなかったが、入札に参加するとみられる半導体メーカーに比べ独占禁止法の審査がクリアしやすいと説明。
買収の意図については「東芝の半導体は世界をリードする技術。ビッグデータを活用した次世代産業で必要となる」と今後の事業拡大に向けた技術を取り込みたい考えを示した。また、日本で海外への技術流出を懸念する声を意識して、郭氏は「シャープや東芝の技術を日本に残し、世界に販売したい」と強調した。
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