東芝、上場維持へ関門3つ 決算手続き難航 廃止慎重論も

 
東京証券取引所

 経営再建中の東芝が、東京証券取引所への上場を維持できるか正念場を迎える。発表を延期した2016年4~12月期決算を含む「四半期報告書」を今月14日までに関東財務局に提出するのが最初の関門だが、第2、第3の関門が控えており、楽観はできない。

 迫る提出期限

 東芝は四半期報告書を2月14日までに関東財務局に提出する必要があった。しかし米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)のダニー・ロデリック会長らが、7125億円を見込む巨額損失を減らすよう部下に圧力をかけたパワーハラスメントの疑いが浮上して監査法人との調整が難航。決算を確定できず、提出期限は3月14日まで延期された。監査法人との調整がさらに遅れるなどしても、再延期が認められない場合、8営業日後の3月27日までが期限となり、これに間に合わないと上場廃止が決まる。

 2016年4~12月期決算の手続きは難航しているもよう。関係者によると、米国の監査法人はパワハラが決算に悪影響を及ぼした可能性を疑っているようだ。期限の3月14日に決算を発表できるかについて東芝の関係者は「五分五分」「確実に発表できるとは言い切れない」などと指摘している。

 さらに、四半期報告書とは別に「内部管理体制確認書」を3月15日以降速やかに東証に提出する必要もある。

 東証は15年に発覚した不正会計問題を踏まえ、東芝株を「特設注意市場銘柄」に指定した。これは上場企業に必要な管理体制に問題を抱えていることを意味している。指定を解除してもらうには、日本取引所グループ(JPX)傘下の自主規制法人に確認書を審査してもらって、再発防止に十分な対策を講じたとのお墨付きをもらう必要がある。改善が不十分と判断されれば上場廃止となる。

 JPXの清田瞭最高経営責任者(CEO)は「19万人の社員、600社の関連会社を審査するので、相当な時間がかかる」と慎重に調べる考えを示している。

 株主、市場に打撃

 また東芝は巨額損失の影響で、17年3月期末に負債が資産を上回る債務超過となり、8月には第1部から第2部に降格する公算が大きい。同社は利益の大半を稼ぐ半導体事業を別会社化し、株式の過半を売却して財務内容を一気に改善する計画だが、売却額が想定を下回るなどして18年3月期末も債務超過が続けば、上場廃止に追い込まれる。東芝株の時価総額は約9400億円で、株主は16年3月末時点で44万人近くいる。上場廃止となれば東芝株は市場で売買できなくなり、株主は取引相手を個別に探すほかなくなる。東芝への投資家の信頼はさらに低下し、相場全体の下落圧力にもなりそうだ。

 公正な市場運営のためにはルール違反への厳格な対応が求められるものの、「東芝は貴重な技術を持つ巨大企業。上場廃止にしていい企業ではない」(カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリスト)との慎重論も根強く、市場の番人である自主規制法人は難しい判断を迫られそうだ。