ヤマトが長時間労働緩和に本腰 ドライバー勤務管理見直し

 

 宅配便最大手のヤマト運輸が、長時間労働が常態化しているドライバーの勤務管理手法を見直すことが14日、分かった。現在はタイムカードに記録する出退勤時刻ではなく、業務開始時に起動する端末の使用時間を計測して勤務時間としているが、今後は出退勤時間を基準にして長時間労働の緩和につなげる。

 ヤマトは現在、グループ社員も含めて約7万人を対象に未払い賃金の実態について調べているが、過去2年間の未払い賃金が100万円程度になる社員もいるとみられる。インターネット通信販売の拡大に伴う人手不足で長時間労働が慢性化しており、時間管理の透明化を目指す。

 これまでヤマトはタイムカードで出社や退社を記録する一方、勤務時間は宅配伝票を読み取る端末の稼働時間で計測している。社員は出社時にカードを打刻した後、端末を起動して荷物の仕分けや配送作業に取り掛かるが、繁忙期は早めに出社してタイムカードを記録し、端末を起動する前から荷物整理などの作業を始めることが多発。出社と端末起動の時刻にずれが生じた結果、その分の未払い賃金が発生していた。

 端末とタイムカードの記録の違いによる未払い賃金を受け、ヤマトの神奈川県内の店舗が昨年8月、横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けており、労使で対応を協議していた。出退勤時刻の記録方法については、今後の労使交渉で具体案を詰めていく方針。