孫社長、最終利益1兆円達成「志からすればほんの一歩」

ソフトバンク株主総会詳報(1)
平成29年3月期連結決算で最終利益が初めて1兆円を超えたソフトバンクグループの株主総会=21日、東京都千代田区

 ソフトバンクグループは21日、東京都内で定時株主総会を開いた。風邪で体調が悪いという孫正義社長は議長として、初めて最終利益で1兆円を突破した平成28年度業績や、英半導体設計大手アーム・ホールディングスの買収の意義などを説明した。

 冒頭、孫社長は「風邪をひいております。せき込むかもしれません」と体調不良であることを説明。しかし、体調不良もどこ吹く風で格安スマートフォンブランドのワイモバイルとヤフーの連携や、米携帯電話大手スプリントなどグループ各社の業績好調ぶりは自信たっぷりにアピールした。

 たびたびせき込み、お茶も飲みながら静かに説明する孫社長。28年度の最終利益が初めて1兆円を超えたことを説明する際には、13年前の16年の株主総会のビデオを上映した。

 当時は、インターネットバブルがはじけた後で、日本のブロードバンド環境を改善するため「日本のインターネットのインフラの99%を提供していたNTTに孤軍奮闘挑戦していた。最終利益は12年から3年間、1千億円を超える赤字が続いていた」と振り返った。

 しかし、業績が最悪だったにもかかわらず、16年の株主総会の録画映像で、孫社長は「売上高が1兆円を達成したので、60代では(最終)利益で1兆円を達成したい」と“夢物語”を語っており、28年度の業績で、その言葉通りに、最終利益1兆円を達成したことを笑顔で述べると、株主から大きな拍手が上がった。

 ただ、孫社長は「1兆円の利益は、正直、大した感動はなかった」と断言。「もっと大きなものは、私の胸の中にしっかりとはっきりと見えている志がある。その志からすると、まだまだほんの一歩を踏み出したに過ぎない。これから登る山が目の前にあって、この山を登っていくんだという気持ちです」と述べた上で、今年で没後150年で、孫社長が尊敬する坂本龍馬の名言「今一度日本を洗濯いたし候」を引き合いに出し、「もう一度、世界を洗濯致し候」と新たな“ホラ”を吹いた。

 そして、「情報革命を牽引(けんいん)し、人類に最も貢献する企業になりたい」という志を表明し、この志をどう達成していくのかの説明に入った。

 人工知能(AI)が人類を上回る「シンギュラリティ」を今後、迎えるに当たって、半導体のチップが重要になることを強調。「現在、地球上の携帯電話やスマートフォンの99%のチップはアームが設計している。昨年1年間で70億人の地球の人口の1人当たり2・5個の177億個をアームが提供しており、今も増え続けている」と、昨年買収したアームの重要性を強調。「恐らく私が振り返ってみて、一番鍵になった買収や投資はどの会社だったか、一社だけ上げろといわれたなら、アームになるのではと思っている」と、アームに対して最大限の評価を示した。

■(2)元副社長への巨額報酬で孫社長「あまり反省していない」 に続く