
ソフトバンクグループ株主総会の会場。孫社長ら経営陣の後ろのスクリーンに、同社の理念が映し出された=21日、東京都千代田区(高橋寛次撮影)【拡大】
孫正義社長の説明は続く。その中で、10兆円超の規模となる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の誕生秘話を明かした。最大の出資者となったサウジアラビアのムハンマド副皇太子と、昨年6月、東京・赤坂の迎賓館で会談したときのことだ。
「私はこう語りかけたんです。『あなたは石油に依存しない国家にしたいというビジョンを掲げているが、それを実現する一番の近道は、私と組むことだ』と。ビジョン・ファンドは資金的なリターンだけを求めているわけではない。同志的な結合の集団をつくるつもりだ」
孫社長は個人的な思いを吐露し、説明を締めくくった。
「風邪をこじらせて頭はガンガン、熱も出ているが、自分にでっかい夢、志が見えていると病気も苦にならない。熱なんか関係ない。朝が来るのが待ち遠しい。休みなんて許せない。人生が楽しく、おもしろくてしようがない。引退なんてしてられない。(ITバブル崩壊直後)業績が真っ逆さまに落ちても明るく脳天気にいた。とにかく燃えている。がんばって経営を続けていく」
そして、質疑応答が始まった。最初の質問はいきなり、孫社長ではなく社外取締役の永守重信・日本電産社長に対するものだった。
「永守社長が毎日新聞のインタビューで、(ソフトバンクグループが昨年、3兆3千億円で買収した)アーム・ホールディングスについて、『10分の1の程度の価値しかない』と発言していたが、真意を教えてほしい」