元副社長への巨額報酬で孫社長「あまり反省していない」
ソフトバンク株主総会詳報(2)孫正義社長の説明は続く。その中で、10兆円超の規模となる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の誕生秘話を明かした。最大の出資者となったサウジアラビアのムハンマド副皇太子と、昨年6月、東京・赤坂の迎賓館で会談したときのことだ。
「私はこう語りかけたんです。『あなたは石油に依存しない国家にしたいというビジョンを掲げているが、それを実現する一番の近道は、私と組むことだ』と。ビジョン・ファンドは資金的なリターンだけを求めているわけではない。同志的な結合の集団をつくるつもりだ」
孫社長は個人的な思いを吐露し、説明を締めくくった。
「風邪をこじらせて頭はガンガン、熱も出ているが、自分にでっかい夢、志が見えていると病気も苦にならない。熱なんか関係ない。朝が来るのが待ち遠しい。休みなんて許せない。人生が楽しく、おもしろくてしようがない。引退なんてしてられない。(ITバブル崩壊直後)業績が真っ逆さまに落ちても明るく脳天気にいた。とにかく燃えている。がんばって経営を続けていく」
そして、質疑応答が始まった。最初の質問はいきなり、孫社長ではなく社外取締役の永守重信・日本電産社長に対するものだった。
「永守社長が毎日新聞のインタビューで、(ソフトバンクグループが昨年、3兆3千億円で買収した)アーム・ホールディングスについて、『10分の1の程度の価値しかない』と発言していたが、真意を教えてほしい」
永守氏はこれに対し、こう答えた。
「いろいろな意見がある。孫さんがすべてすばらしいなら、社外役員は必要ない。私はハードメーカーの人間で、私なら3300億円以上は出せない。これは価値観の違いだ。孫さんは自信をもってアームの将来を語った。おそらくそれが正しいが、社外役員として一抹の不安を感じた。すべて孫さんがすばらしいと言うと、(経営に)穴ができる。私も最終的には、買収も賛成している。決して真逆を言ったわけではなく、誤解のないようにしていただきたい。『こういう社外役員がいるから安心できるな』と思ってほしい」
株主席から拍手が起きる。孫社長も苦笑しつつ、見解を述べた。
「いろんな意見があって当然だ。ただ、アームは外から見ていた以上にはるかにすばらしい会社で、買ってよかったという思いがますます高まっている。永守さんには永守さんの意見がある、健全な運営しているということでご理解をいただきたい」
昨年の株主総会直前に電撃退任を表明し、会社を去ったニケシュ・アローラ副社長への巨額報酬についてただす質問が出た。
「アローラさんへの退任費用が88億円とある。日産自動車のゴーン社長が10億円もらっているというがその8、9倍。この費用を配当にまわすと30円くらいになる。2度とこのようなことがないようにぜひ、職務をまっとうしてもらいたい」
これに対し、孫社長はまったく動じずに答える。
「配当30円に相当というのは、(そんなに大きくはなく)おそらく1ケタ間違っていると思う。ニケシュがグーグルに務めているときに多くの報酬を得ており、ストックオプションも累積していた。スカウトするに当たり、同等かそれ以上を払わなければならなかった。報酬額は確かに大きいが、彼がいた2年間で貢献した額も、非常に大きかったと高く評価している」
アローラ氏退任の背景にも改めて言及した。
「来てもらうときに、早い時期に後継者としてバトンを渡すと言ったが、彼と私の思い、時間軸に差があった。ある時、『君が思っているような早いタイミングでバトンを渡す気はない』と伝えたことで退任となった。結果として払う必要のない退職金を払うことになったのかもしれない。しかし代わりに、私が現役の社長として戻ってきた(笑)。(私に)その価値があるのではないか。また同じことをやるかどうか、それは人物によると思う。そういう意味ではあまり反省していない」
■(3完)2代目社長、ロボットはだめ?「そこは生身の人間に」と孫社長 に続く
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