ポケモンGO配信1年 熱狂は沈静化 健康志向の中高年に活路

 
天橋立観光協会が公表した、地元の観光スポットとポケモンGOのアイテム入手場所を合わせた地図

 スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」が海外を皮切りに配信されて6日で1年になる。日本でも社会現象となったが、当初の熱狂は沈静化。ただ今でも若者たちに代わって運動不足を解消したい中高年層が「外出のお供」に使うなど、静かなブームを支えている。観光振興に活路を開きたい全国の自治体でも「ポケモン利用」へ手探りが続く。

 「聖地」様変わり

 「休日はやることもないし、家で暇にしているよりいい」。梅雨の合間の陽気となった2日、大阪市の天保山公園でポケモンGOを楽しんでいた神戸市の建設業、三砂勉さん(48)はそう言ってタオルで汗をぬぐった。

 天保山公園はゲームで集める珍しいキャラクターが多く出現する「聖地」。当初は若者らが押し寄せたが、今では様変わりし、目立つのは中高年のプレーヤーだ。大阪市内の男性会社員(56)は「単身赴任でなかなか外に出る理由もないので続けている」。ちょっとした健康ツールとして手放せない。

 今はパンダ

 ポケモンGOは米国などで先行配信され、日本でも上陸前から狂騒を巻き起こした。調査会社「ヴァリューズ」(東京)の推計によると、月1回以上プレーする国内ユーザーは上陸直後の昨年7月に1100万人に到達。歩きスマホのトラブルや交通事故が相次いだ。

 しかし、熱狂の波も数カ月で引き、秋までにユーザーはほぼ半減した。東京・上野公園でもプレーする若者はめっきり減り、カップルで訪れた男性会社員(20)は「歩くのが面倒で2カ月でやめた。今日は赤ちゃんパンダが目当て」と笑う。

 世代別のユーザーの割合は20~30代がこの1年で62%から52%に低下する一方、40代以上は38%から48%に上昇。老人クラブが活動に取り入れる例もあり、若者のブームが移り変わる中、中高年層の支持が根強い。

 千葉大予防医学センターの羽田明教授は「歩くことは肥満や高脂血症の予防につながる。運動を習慣化するゲームの仕組みは大成功だ」と話す。

 相乗効果

 「天橋立は前から訪れてみたかったが、ポケモンが後押しになった」。先の週末に石川県から日本三景の天橋立(京都府宮津市)を訪れた男性(40)は顔をほころばせた。地元の観光協会ではポケモンGOの運営会社と連携し、周辺の観光スポットとゲームのアイテム(道具)の入手場所を合わせた地図を3月に公表。男性が旅行先を選ぶ決め手の一つになった。

 天橋立観光協会は「地元の良さを伝えるきっかけになる」と歓迎する。宮城、福島、埼玉、京都の各府県の市町村でも作製が相次ぐが、こうした成功事例はまだ少ない。観光客の増加につながるかは未知数のままだ。

 運営会社では今後、ゲームの内容をより充実させるとともに、米シカゴや横浜市でユーザーが集まるイベントを計画。再び盛り上がりを取り戻し、各地に相乗効果をもたらせるか、2年目の模索が始まる。

【用語解説】ポケモンGO

 米ゲーム会社ナイアンティックと、任天堂の関連会社のポケモン(東京)が共同開発したスマートフォン向けゲームアプリ。オーストラリアや米国などから配信が始まり、現在150以上の国と地域で展開されている。キャラクターの「ポケモン」を集めたり、戦わせたりして遊ぶ。スマホの位置情報を活用し、現実とコンピューターの世界を組み合わせた「拡張現実(AR)ゲーム」と呼ばれる。