ブリヂストンの新スタッドレスは何が進化したのか ニーズに耳を傾け3つの性能を向上

 
スケートリンクで「ブリザックVRX2」を試す参加者

 世界最大手のタイヤメーカー、ブリヂストンが9月1日よりスタッドレスタイヤ「ブリザック VRX2」を発売する。北日本において16年連続で装着率1位を誇る「ブリザック」ブランドから4年ぶりに投入される新製品は、独自技術「発泡ゴム」をさらに進化。消費者が冬用タイヤに求める3つの性能を大幅に向上させているという。横浜市内で一般ドライバーを招いて行われた氷上試乗会では「地面とのつながりを感じた」といった声が聞かれるなど、評価は上々だ。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)

 高い総合性能を追求

 「新しいブリザックは、氷雪上性能と一般路性能を高い次元で両立させることを目指してきた」

 ブリヂストン執行役員で消費財タイヤ開発担当の井出慶太氏は新商品発表会で、高い総合性能を実現した「ブリザック VRX2」を高揚した口調で自信たっぷりにアピールした。

 日本の冬道は海外と比較して気温の高低差があり、ツルツルの凍結路面になりやすいのが特徴だという。だが、ひと言で冬道といっても凍結路、積雪路のほかにシャーベット状、ウエット、ドライなど降雪エリア・非降雪エリアにおいて様々な路面コンディションが存在する。こうした条件下に対応するためには「総合性能」の追求と実現が鍵を握る。ブリヂストンでは「断トツの氷上性能」を最優先で追求しつつ、相反するウエットやドライといった一般路性能などすべての要素を高いレベルでバランスさせることに重点を置いてきた。

 消費者がスタッドレスに求める3つの性能

 「VRX2」は総合性能の追求において、「氷上ブレーキ性能」「摩耗ライフ性能」「静粛性」のパフォーマンスを特化させた。その理由は、一般消費者がこれら3つの性能をスタッドレスタイヤに求めていることがブリヂストンの調査で分かったからだ。

 「VRX2」の氷上ブレーキ性能は従来品との比較で10%も改善。これに大きく貢献しているのが、ゴムの中に気泡を入れるブリヂストン独自の技術「発泡ゴム」だ。凍結路で滑る原因は氷の表面を覆う「水の膜」。ブリザックシリーズは無数の気泡の中に水を入り込ませることで除水を行い、滑る原因を排除している。濡れた氷はツルツルと滑って掴みづらいが、表面が乾いた氷は指にピタリとくっつく、あのイメージだ。今回、新たに開発した「アクティブ発泡ゴム2」は新シリカ(低燃費性能やグリップ力を向上させる白い粉体)を配合するなど、路面をひっかく力(=グリップ力)がさらに高くなっているという。路面とタイヤの接地面積を最大化した新パターンも採用し、氷雪路でもしっかり曲がる、止まるを実現している。

 摩耗ライフはタイヤのブロック剛性を高めることで22%も向上させた。これについて井出氏は「ゴムは下に押し付けた状態では減らない。消しゴムのように滑らせることで減っていく。剛性を上げることでブロックの倒れ込みをおさえて路面に密着させ、滑りをできる限り少なくしている」と分かりやすく説明してくれた。タイヤが長持ちすれば安全面で欠かせない「効きの持続」にもつながり、何よりも経済的だ。

 静粛性もノイズを31%軽減することで快適なドライブをもたらす。スタッドレスタイヤは夏タイヤと比較して、トラクションを稼ぐために横方向の体積が多く、それにより高周波ノイズが気になるという欠点があった。「VRX2」はパターン配列を最適化し、発泡ゴムが持つ吸音機能を生かすことで静かな車内空間を実現しているそうだ。

 体験者から相次ぐ高評価

 ブリザックは北海道・北東北の主要5都市において、16年連続で装着率No.1を誇る人気シリーズだが(※ブリヂストンが委託した第三者機関による調査)、ブリヂストンは冬道に慣れていないドライバーにもスタッドレスタイヤの重要性を伝えることに注力している。同社の発表によると、東京・名古屋・大阪などの非降雪地域におけるスタッドレスタイヤの保有率は2017年時点で31%と年々上昇傾向にあり、購入した理由は「もしもの降雪や凍結に備えて」が54%で最も多いという。

 発表会見の後には、非降雪地区に住んでいるドライバー20人を招いて、スタッドレスタイヤの安全性能を体感できる氷上試乗会を実施した。スケートリンクに作った特設コースでは、「VRX2」と夏タイヤの「エコピア」を履いたトヨタ・アクアでコーナリング性能やブレーキ性能の違いを確認。夏タイヤではなかなか止まらない急ブレーキや、外へ外へと膨らむコーナリングに手を焼くドライバーが続出したが、「VRX2」は高い制動性や安定したグリップ力を発揮するなど、リンク脇から見ていてもその差は歴然だ。

 参加したドライバーからは「夏用と冬用でこんなにも違うのかとびっくりした。ブレーキの効きの速さに驚いた」「夏タイヤは運転しているというよりも滑っている感じがしたが、スタッドレスは地面とのつながりを感じた」「冬タイヤは自分が運転したいように行ける。ハンドルを動かした通りに曲がってくれた。あれなら自分の運転でスノボに行ってもいいなと思った」などと、スタッドレスタイヤを高く評価する声が相次いだ。

 一般的なタイヤと路面の接地面積はハガキ1枚分しかない。運転手と乗員の安心・安全がハガキ4枚分という小さな面積にかかっているからこそ、まだスタッドレスタイヤの安心感を体験したことのないドライバーは、冬に備えてぜひ一度試してみてほしい。その違いがはっきりと分かるはずだ。

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