富士通も撤退… 携帯市場、国産メーカー凋落 残る3社も生き残り厳しく

 
平成19年度と28年度の国内携帯電話出荷シェア

 国内の大手携帯電話メーカーは「ガラケー」と呼ばれる従来型の全盛期だった2000年代初めに約10社あったが、08年以降、三菱電機、東芝、NEC、パナソニックなどが相次ぎ撤退。富士通が事業を売却すれば携帯メーカーはソニー、シャープ、京セラの3社に絞られる。

 ガラケーの時代、国内勢はインターネット接続サービスや、おサイフケータイなどを世界に先駆け開発するなど、技術力で内外に存在感を示し、国内携帯市場では9割超を国産が占めた。

 それが今や国産携帯は海外で売れないばかりか、国内市場の牙城すら侵食されている。MM総研によると、国内携帯4社合計の16年度の国内販売は1500万台弱と、首位の米アップル1社にも及ばないのが実情だ。

 スマホ乗り遅れ

 凋落(ちょうらく)の背景には、アップルが07年に「iPhone」を発売し、一気にスマホの時代となる中、国内メーカーが本格的にスマホを投入したのは11年以降と、「通信会社に頼ったビジネスモデルだった」(MM総研の篠崎忠征アナリスト)ため、市場のトレンドに完全に乗り遅れたことがある。

 各社はNTTドコモなど大手通信会社と共同で端末を開発し、技術の規格から販売まで依存。ドコモが独自のネット接続サービス「iモード」に固執してスマホ開発に本腰を入れるのが遅れる中、自らリスクをとって動けなかった。韓国サムスン電子が「ギャラクシー」シリーズを開発し、アップルと並ぶスマホ世界2強の座を確立したのとは対照的だ。

 生き残り厳しく

 結果的に世界市場で年2~3億台を販売するようになったアップルやサムスンとの競争で苦境を強いられることになり、NECや富士通など「電電ファミリー」と呼ばれる老舗の通信系メーカーは携帯市場から姿を消すことになる。

 残った国内勢では、ソニーが高画質のカメラを搭載したハイエンドの端末に絞り込むなど、得意技術を生かした戦略にかじを切っているが、桁違いの販売台数の世界大手に比べて存在感は薄く、生き残りは容易ではなさそうだ。(万福博之)