アップル、WDの経営権取得を懸念 「東芝メモリ」売却判断に影響
東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、主要顧客であるIT大手の米アップルが米ウエスタン・デジタル(WD)による将来の経営権取得に懸念を示している。取引方針が変わり、記憶用半導体「フラッシュメモリー」の安定調達に支障が出ることへの警戒があるからだ。WDが加わる「日米連合」と東芝の条件闘争や売却先決定の判断に影響する可能性がある。
関係者によると、アップルはWDが将来取得する東芝メモリの議決権について16%弱であれば容認するが、経営の主導権を取れば、WDにフラッシュメモリーを発注しない可能性があると伝えたもよう。また、東芝と協業する三重県四日市市の工場で生産するメモリーについて、WDが供給割合を増やすよう求めていることにも難色を示しているようだ。
「メモリー不足がゆえに心配している」と、東芝関係者は指摘する。
フラッシュメモリーはスマートフォンやデータセンターの記憶装置用に需要が急拡大しており、世界的に需給の逼迫(ひっぱく)感が強い。WDはIoT(モノのインターネット)の普及で増大するデータセンター向けに供給を増やしたい意向だ。
東芝メモリがWD傘下になれば、アップルのスマホ向けのメモリー供給が滞りかねない。WDが過去にアップル向けの供給を絞り、値上げしたことも、WDへの不信感につながっているとみられる。
東芝とWDは東芝メモリの売却で詰めの協議に入っているが、足踏みが続いている。買収時点ではWDは議決権は取得せず、東芝メモリが新規株式公開(IPO)した後に16%弱の議決権を確保する方向で調整している。だが、WDは将来の経営権取得を諦めておらず、独立経営を目指す東芝との間に溝が生じている。
こうした中、対抗馬である米ファンドのベインキャピタルなど「日米韓連合」が買収後の資金支援を上乗せして、総額2兆4000億円を拠出する新提案を提示し、日米連合を猛追する。アップルの参加も調整中だ。
東芝が予定する13日の売却先決定に向け、最後の綱引きが激しさを増してきた。
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