旭化成不動産レジデンス 築60年のマンション建て替え 29カ所目
旭化成不動産レジデンス(東京都新宿区)は、「四谷コーポラス」(同)の建て替え事業に着手した。同物件は1956年に完成した民間初の分譲マンション。1つの住戸の中に階段があり2層以上を立体的に使うメゾネットタイプを導入し、当時は大学教授や弁護士、大手企業の社長らが購入した高級物件だった。築60年が経過して頻繁に水漏れが発生するなど老朽化が著しく、住民間の合意を経て建て替えに至った。2019年夏の完成を目指している。
分譲マンションの建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要となる。しかし、費用負担など経済的な理由や住民の高齢化で合意が得られず、老朽化しても建て替えはなかなか進まないのが現状だ。
四谷コーポラスの区分所有者は25人。当初購入した世帯の2世や3世が多いこともあって「横のつながりが強く、しっかりと管理組合はまとまっていた」(四谷コーポラス管理組合の島田勝八郎理事)という。
それでもコストの問題などもあって、一気に話が進むことはなかったものの、日常的にコミュニケーションが図られていたこともあって、23人の区分所有者が賛成。当初、反対にまわった区分所有者も最終的に建て替えに賛成した。
建て替えは複数のデベロッパーによる競合となり、採点方式で業者を選んだ。オープンな場で建て替え推進委員会のメンバーによる評価が発表され、最も高い点数を取った旭化成不動産レジデンスが選ばれた。
島田理事は「他のデベロッパーは費用に関する話ばかりだったが、旭化成は『高齢者世帯を巡回するサービスをやってもよい』といった提案が含まれ、一番光っていた。誰も反対しなかった」と振り返る。
四谷コーポラスは、従来の地上5階建て28戸から地下1階・地上6階建て51戸に再建。立地条件の良さから区分所有者の9割が再取得する。延べ床面積約30~約115平方メートルの33パターンのプランによって構成され、販売住戸は、単身者やDINKS(共働きで子供を持たない夫婦)などが主なターゲットとなる。
同社にとって、単棟型、団地型を合わせてマンション建て替え事業に取り組むのは今回が29カ所目。池谷義明社長は「単なる建て替えではなく、思い出に残る事業を目指していきたい」と話している。
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