【大林組会見詳報】(3)蓮輪次期社長は新ビジネスを主導「土木畑ではない」
大林組の社長交代会見に臨んだ白石達社長の受け答えはよどみないが、談合疑惑の詳細に関しては「コメントを控えたい」との発言を繰り返す。同社の司会者が「事件に関する質問にはあまりお答えできない。ご配慮を頂きたい」と報道陣に求めた。
同社は今回の社長交代と同時に、土木部門を統括する土屋幸三郎副社長が23日付で辞任し、嘱託に就いたことを発表している。その経緯や、再生可能エネルギーなど本業以外の新ビジネス部門を率いてきた蓮輪賢治専務執行役員を次期社長に選んだ理由に関しても、報道陣の質問が相次いだ。
質疑応答の主なやり取りは、以下の通り。
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--土木部門を統括する土屋副社長の辞任は「一身上の理由」とのことだが
白石氏「『土木本部の責任者として(捜査を受けるに至ったため)辞任したい』とのことで、淡々と辞表を受け取ったまでだ。昨日の午前中に私の席で辞表を受け取った。1対1だ」
--辞任の理由をもう少し詳しく説明してほしい
「捜査を受けた土木部門の責任者として、捜査を受けたこと自体の責任をとって辞任された。(不正に関わったのかどうかは)捜査に関わることなので、コメントできない」
--蓮輪氏を次期社長に選んだ理由は
「日本の建設業は難しい状況にある。建設投資は国の人口に比例するが、日本は少子高齢化で、今後の飛躍的増加は見込めない。そうした中でも会社は成長しなくてはならず、今後の大林組の成長を計画・実行できる素養を持った方がふさわしい。蓮輪氏がうってつけだ」
--蓮輪氏は土木畑出身だが、今回の疑惑も土木をめぐるものだ
「蓮輪氏は、平成26年から(再生可能エネルギーや農業などの新ビジネスに取り組む)『テクノ事業創成本部』を率いている。もう『土木畑出身』とはいえないのではないか」
--経営体制の一新をいつから考えていたのか
「明確にはいえないが、こうしたことが起きて、より若い経営層にバトンタッチしたいと考えていた」
--捜査の行方を見守り、決着が付いてから交代する判断もあり得たのではないか
「私は70歳。この難局に大林組を率いる体力・気力が足りないのではないかと考えた」
--社長を退いた後に取締役として残るが、今後の経営参画は
「経営に参画する考えはない。株主総会を経て新しい取締役に交代(し、相談役に就任)するのが無難、という程度の考えだ」
--大林組は近年、相談役ポストを置いていなかった。なぜ顧問でなく相談役なのか
「相談を受けて助言するという程度であり、大きな意味はない」
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