乗るログ

レクサスの“原点”「ES」で上質なひととき 青森・八甲田山をドライブ

SankeiBiz編集部

 今回の【乗るログ】は本州最北端に位置する青森県が舞台。青森空港をスタートして八甲田山、浅虫温泉をめぐる約140キロのロングドライブを、レクサスのミッドサイズセダン「ES」で楽しんできた。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)

レクサスES
レクサスES。遠くに八甲田山を望む
12.3インチワイドディスプレイやマークレビンソンのオーディオシステムを備える
世界初採用のデジタルアウターミラー。ディスプレイ上にバイクが見える
3眼ヘッドランプとL字のシグニチャーライト
運転席側のドアトリム
緑色に染まったフロントガラスとサンルーフ。「青森」の名前の通り、森に茂る木々の鮮明な発色が美しかった
12.3インチのワイドディスプレイ。八甲田山周辺を走る
世界初採用のデジタルアウターミラー。従来型のドアミラーよりもはるかに面積が小さい
デジタル映像が映し出されたルームミラーと、ドライバーに向けて横向きに設置された助手席側のディスプレイ
足元、頭上に広がる大きなスペースには驚いた
レクサスのミッドサイズセダンES
リヤエンドに向けてなだらかなラインを描くクーペスタイル
奥行きのあるL字のLEDテールランプ
ESのリヤビュー
ESの後席。リヤウインドーのサンシェードはリバースを選択すると自動で下がる
贅沢なセミアニリン本革シート。夏場は冷風が吹き出すベンチレーションが役立ちそう
センターコンソール周り。もしかするとリモートタッチの操作性が上がった??
水平基調のオーソドックスなインテリア。手堅くまとめた印象だ
ハンドルやオーナメントパネルにあしらわれたブラウンの縞杢。奥深さを感じる美しさに思わず見入ってしまった
サテンメッキを施したセンタークラスター
後退時に自動で下がるリヤウインドーのサンシェード(※半分下がった状態)
後退時に自動で下がるリヤウインドーのサンシェード(※完全に下がった状態)
余裕たっぷりの後席レッグスペース
空調やシートリクライニングの操作スイッチ。後席でも快適に過ごせる
彫刻刀で削ったような見事な造形が魅力的な陰影を生む
世界初採用のデジタルアウターミラー
リヤに向かってなだらかな曲線を描くクーペスタイル
夕日に照らされた湯ノ島を眺めながら、レクサスの後席に座って夜のイベントに向かう
夕日に照らされた湯ノ島
快晴の青森空港に到着
青果市場で購入した佐藤錦
地元のガラス工芸品「津軽びいどろ」

 まずは田代平湿原を目指す

 小雨に煙る羽田空港を出発して飛行機に乗ること約1時間、青森空港に到着した。時刻は朝の11時。通路側のシートから小さな窓の先に目をやると、芝生の絨毯が青々と輝いている。気持ちのいいドライブを予感させる見事な快晴だ。

 空港ビルを出てエントリーキーを受け取ると、レクサスの新型セダンESに颯爽と乗り込んだ。最初の目的地はお勧めされていたドライブルートの一つ、八甲田山周辺の「田代平(たしろたい)湿原」。筆者が青森県を訪れるのは今回が初めてであり土地勘は全くない。ルート案内をお願いするため、車内からレクサスの「オーナーズデスク」に接続してオペレーターを呼び出そうとするが、何度試しても「ただ今大変混雑しております。しばらくしてからお掛け直しください」との自動音声が繰り返される。日曜のお昼時は忙しいようだ。結局、ナビを起動して自ら目的地を打ち込んだ。

 いきなりスタートでつまずいたが、いざ走り始めると周囲には長閑な田園風景が広がり、その先には連峰も眺望できる。「方角からすると、あれが八甲田山だろうか」-。知らない土地でステアリングを握ると、この先どんな体験ができるのだろうかと、自然と胸が躍る。県道122号と44号の平たんな道を走りながらESの感触を確かめる。初めて乗るクルマのステアリングを握ると、これまた胸が躍る。

 ESは1989年のレクサス創設時に、フラッグシップセダン「LS」とともに“初期メンバー”として誕生した。以来、フルモデルチェンジのたびに進化を遂げてきたが、日本導入は昨年10月に発売された今回主役の7世代目モデルが初めてとなる。ちなみにESはレクサスのセダンで唯一の前輪駆動車(FF)だ。試乗車は上級グレードの「version L」。日本に投入された「ES300h」のパワートレインは2.5リッターエンジンにモーターと無段変速機(CVT)を組み合わせたハイブリッド車(HV)だ。言わずもがな、HVシステムによる発進は静かでスムーズ。アクセルをぐっと踏み込むとエンジンの介入が大きくなり、変速ショックとは無縁のCVTらしい直線的な加速を見せる。

 県道40号「青森田代十和田線」に合流し、八甲田山雪中行軍遭難資料館を通り過ぎると、八甲田山に向けて緩やかに上り坂が始まる。周囲はやがて深い木々に囲まれ、フロントガラスはまるで木の葉をちりばめたように緑の光で染まる。今思えば、このあとに頂いた地元のガラス工芸品「津軽びいどろ」のように透き通った美しさだ。

 八甲田山が近づいてくると、道路沿いに所々設置された看板が目に入る。「後藤伍長発見の地」「鳴沢第二露営地」「平沢第一露営地」-。この地で行軍兵があれだけの時間を彷徨していたことを考えると、第二露営地と第一露営地の距離の近さは驚きだ。自然の厳しさやその地で実際に起きた史実の重みをかみしめながら、様々な思いを巡らす。これもクルマで探訪する楽しさの一つだ。

 森の中のドライブを楽しむうちに田代平湿原に到着した。どうやら駐車場から湿原まで結構歩くようだ。(当たり前だが)湿原に続く歩道は舗装されておらず、夜のイベントに備えてジャケパンと革靴を着用していた筆者は散策を断念。しかも客観的に考えると、粛然とした湿原をジャケパン姿の男が一人で何も持たずに歩いていたら“心配”されてしまいそうだ。時刻はすでに12時半。16時までに浅虫温泉に到着しなければならず、時間的余裕があまりない中、とりあえず40キロ先の十和田湖を目指すことにした。

 スマートさを感じる走り

 ここから先は道幅が狭くなり、起伏に富んだ箇所も出てくる。頭上は木々に覆われ、屈曲した緑のトンネルが続く。蔦温泉周辺ではカーブが連続するが、ドライバーの操作に忠実に滑らかに旋回する。鋭角に曲がるヘアピンカーブではFRセダンのようなスパッと切り込むシャープさこそないが、走りの鋭さより「快適性」に主眼を置いて開発されたESの特性を考えると、そのような“切れ味”は求められてもいないのだ。

 2.5リッターHVシステムは豊富な動力をもたらす。ESは全長約5メートルの体躯を誇るが、アップヒルでも軽く踏んでやれば涼しい顔で駆けあがる。そう、ブワーンと大きなエンジン音を立てながら猛獣ばりに突進するのではなく、大きな鳥が滑空するようなスマートさを思わせる。

 キャビン内は高い静粛性に包まれているが、外部音が完全にシャットアウトされているわけではない。雑音はカットしつつ、ドライバーが必要とする音は「情報」としてしっかりと伝達されている。例えばエンジン音や踏切の音、接近車両の走行音など排除する必要のない音はたくさんあるのだ。

 十和田湖まで残り15キロの地点で引き返すことにした。時間的に余裕がなくなってしまったのだ。ひと目だけでも都内にはない雄大な湖面を眺めてみたかった。十和田湖にたどり着けなかったことは、今回の行程で唯一の心残りだ。

 途中、木々に囲まれたひと気のない駐車場で車両撮影をしたのだが、突然冷気が漂い始めたと思ったら、瞬く間に深い霧に包まれた。濃緑(こみどり)の景色が一瞬で真っ白に姿を変えてしまったのだ。撮影を終えると前方視界が悪い中、速度を落としながら青森駅周辺を目指して“下山”した。しかしながら、あるポイントを境にまた一瞬にして霧が晴れるのだから、山の天気は気まぐれだ。

 ドアミラーは不要?

 ESには多くの先進技術が投入されており、量販車では世界初採用のデジタルアウターミラーも装備している(※メーカーオプション)。ドアミラーの代わりに小型カメラを設置し、撮影した映像を車内のAピラーに取り付けた小型ディスプレイに映し出す装置だ。アウターミラー自体は細長いデバイスであるため、斜め前方の視界確保に大きく貢献している。また、空気抵抗の低減は燃費向上にもつながるだろう。窓から手のひらを出した時に受ける強い空気抵抗を考えると、ミラー形状の違いが燃費を大きく左右することは容易に想像がつく。

 肝心なミラーとしての性能だが、「ディスプレイを見る」という行為は誰でもすぐに慣れるだろう。助手席側のディスプレイがドライバーに向かって横向きに取り付けられている一種の不自然さはあるが、「画」をミラーで反射させる必要がないため角度は関係ないのだ。暗い場所でも自動で輝度調整するため、トンネル内や夜間走行でも後方が見やすいというメリットがある。ただしデジタル映像であるがゆえ、シーンによって景色の流れがやや不自然で粗さもあり、残像が映り込むのも少し気になった。極端に言えばパラパラ漫画のような感じだ。とはいえ、あえて正直に感想を述べただけで、運転には全く問題ない程度のことである。将来的にはドライバーが自分好みの場所にディスプレイを置けるようになるなど、運転のしやすさを追求できる可能性だって秘めていると考える。

 青森駅周辺の市場で今が旬の佐藤錦を購入し(青森も有名とのこと)、都内の自宅や地方の親戚へ配送手配を行ってから浅虫温泉へと向かった。実はこのあと、地元の方の運転でESの後席に2時間ほど座る機会があったのだが、その流麗なスタイルからは想像できないリヤスペースの広さに驚かされた。もともとキャビンの広さに優れるFF車だが、さらにESが採用するGA-Kプラットフォームはホイールベースを長くとることでボディを前後にストレッチしているため、室内空間のゆとりを妥協せずにクーペのようなフォルムを実現している。そんな広大な車内から、夕日で赤く染まった陸奥湾に浮かぶ湯ノ島と小さな島々を、今度はパッセンジャーとしてゆったりと眺める-。山と海の異なる美しさを、着座位置を替えて愉しむなんて、なんとも贅沢な時間の過ごし方だ。

 高級車ならではの優雅な空間

 スムーズなハンドリング、余裕を感じるパワー、高い静粛性、広大なキャビンスペース、そして後席でもゆったりと過ごせる乗り心地の良さ。さらには、雨を感知するとクルマが「窓を閉めましょうか」とドライバーに提案したり、エンジンを切った時に降車しやすいようシートが後方にスライドしたりと、プレミアムカーならではの様々な気配りが、ESがテーマとして掲げる「上質な快適性」を作り上げている。いかにも日本メーカーらしい「おもてなし」の心を、レクサスブランドの原点ともいえるESで再発見することができた。

《ヒトコト言わせて!》

 レクサス広報部「ESは、LEXUSブランド創設以来、歴史を作り上げてきた基幹モデルです。ESの原点とも言える『上質な快適性』にさらなる磨きをかけるとともに、LC・LSに続く、新世代LEXUSラインアップとして、デザインや走りも大きな進化を遂げています」

 今回のES試乗は、7月5日~7日に青森市浅虫で開催された野外ダイニングイベント「DINING OUT」の一環として、同イベントのオフィシャルパートナーを務めるレクサスが「ぜひ夕方まで試乗しませんか」とオファーしてくれたことで実現しました。陸奥護国寺で行われたDINING OUTの様子はこちらからどうぞ。

◆あわせて読む 【単独インタビュー】レクサス澤代表「最近は欧州勢のベンチマークに」「ミニバンで市場開拓」

【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。アーカイブはこちら

主なスペック(試乗車)

全長×全幅×全高:4975×1865×1445ミリ

ホイールベース:2870ミリ

車両重量:1730キロ

エンジン:直列4気筒

総排気量:2.5リットル

最高出力:131kW(178ps)/5700rpm

最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3600-5200rpm

モーター型式:3NM

最高出力:88kW(120ps)

最大トルク:202Nm(20.6kgm)

トランスミッション:CVT

駆動方式:前輪駆動

タイヤサイズ:235/45R18

定員:5名

燃料タンク容量:50リットル

燃料消費率(JC08モード):23.4キロ/リットル

ステアリング:右

車両本体価格:698万円(税込)