出光興産は、子会社が運営する系列のガソリンスタンド20店舗を通じて、自動車用品メーカーの「プロスタッフ」(愛知県一宮市)製電動二輪車の販売を4月から開始した。スタンドの収益源を多角化するのが狙い。
伊藤忠商事系の燃料商社「伊藤忠エネクス」は、今月10日からバッテリーの取り外しが可能な台湾製の電動二輪車を全国約20カ所のガソリンスタンドで販売を始めた。同社は今年度末までに販売拠点を約700店舗に増やし、初年度2000台の販売を計画している。
走行時の排ガスがゼロの電動二輪車の市場拡大に期待が高まるが、課題もある。フル充電までの時間が6~9時間と長く、走行距離が50キロ以下と短い点だ。
テラモーターズは鉛電池の一種であるシリコンバッテリーと呼ばれる電池を、ヤマハ発はリチウムイオン電池を使用しているが、ガソリン二輪車と競争するには改善の余地は大きい。
こうした点もあって、昨年12月から事業者向け電動二輪車(本体価格45万4650円から)のリース販売を始めたホンダでは「まだ走行距離が短く、個人向けとして販売するには時期尚早」と慎重姿勢だ。
ある証券系アナリストは「走行距離を伸ばすにはリチウムイオン電池が本命だが、まだ価格が高く、車両価格も高くならざるを得ない」と、問題点を指摘する。
それでも、国内二輪車市場の縮小が続く中で、電動二輪への期待は大きい。参入企業が増え、要となる電池の技術開発や量産によるコストダウンが進めば、“街乗り”需要を取り込んで急拡大する可能性もある。(阿部賢一郎)
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