またリーマン・ショックの発端となった低所得者向けの「サブプライムローン」問題にからみ、米連邦住宅金融局(FHFA)が9月に野村を含む17金融機関に損害賠償を求めて提訴すると発表。野村から数億ドルの損失を被ったとしており、「訴訟リスク」も売り材料になっている。
迅速な危機対応
11月には欧州部門を中心に人件費カットなどで総額12億ドル(約945億円)のコスト削減を行うと表明。さらに英紙フィナンシャル・タイムズには、グループの野村総研や野村不動産の株売却を複数の海外投資ファンドに打診したと報じられた。
野村は現在、売却を否定しているが、「高コストを是正するため、聖域なきリストラが急務」(関係者)との指摘は多い。
イタリアやギリシャなど欧州重債務国向け投融資残高を9月末から7割以上も圧縮するなど、危機対応のスピードは迅速だ。
実際、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、欧米などの大手金融機関の格下げを検討する一方で、野村は据え置いた。格下げ検討の対象に含めた米ムーディーズ・インベスターズ・サービスも、資本の厚さには一目置いており、市場の評価は徐々に回復している。
だが、復活を果たし、再編観測といった外野の雑音を封じるには、リストラで急場をしのぐだけではなく、収益力を高め、株価を回復させる以外に道はない。(比嘉一隆)