マグロの一本釣りで知られる本州最北端の青森県大間町では、2008年に着工したJパワー(電源開発)の大間原子力発電所が威容を現し始めている。
本来なら基幹設備の原子炉圧力容器が搬入され、作業が活況を呈している時期だが、人影は少ない。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で工事は中断し、建設計画は暗礁に乗り上げている。
東北の秋が深まる10月下旬、北海道・函館から1日2往復のフェリーに揺られ、大間港にたどり着いた。小高い丘を隔てた先に広がる造成地には、カバーで覆われた大間原発の姿が見える。「かなり町に近い」というのが第一印象だ。
大間町は、2000年に放映されたNHKの連続テレビ小説「私の青空」の舞台として名をはせ、毎秋催されるマグロ祭りの時期には多くの観光客が訪れる。いまでは観光地としても知られるようになったが、もともとはわびしい漁村だった。
町議会が原発誘致を決議したのは1984年。国が開発中だった新型転換炉(ATR)の信頼性を確認する実証炉建設計画が出発点だった。
しかし、95年に経済性の観点から改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)に変更。用地買収に難航するなどの曲折を経て、原子炉の搬入直前までたどりついた矢先に起きたのが、福島原発事故だった。