関連会社近隣に工場
大王の経営側も反撃に出た。連結子会社から外れたエリエールペーパーテックの工場がある静岡県富士宮市の工業団地に用地を取得し、来年中にも同社が手がける紙おむつの生産を始める計画を進めていることが明らかになった。創業家が支配する関連会社を切り、自前の生産体制の構築に動き出したとみられる。
これに対し、「(大王と関連会社は)車の両輪」として、取引の継続を表明していた高雄氏はさらに激怒。大王のライバルメーカーへの出荷も辞さない構えをみせている。
「製造と販売部門が分裂状態となれば、事業運営に重大な支障が出るのは避けられない」(アナリスト)。株式市場では、経営が一段と混乱することへの懸念が高まっている。
製紙業界は、もともと設備過剰による過当競争を繰り広げており、再編圧力が強い。大王が、創業家の支配する関連会社の製造部門を切り捨てれば、「格好の再編のターゲットになる」(業界関係者)との見方も出ている。
政変をめぐっては、平成18年に最大手の王子製紙が北越製紙(現・北越紀州製紙)に敵対的買収を仕掛けた際には、当時社長だった意高被告が北越と資本業務提携をし、買収防衛に手を貸したことがある。
供給過剰の解消を狙い、混乱に乗じて業界3位の大王に敵対的買収を仕掛けるライバルが現れる可能性は小さくない。逆に、大王の経営陣が脱創業家のため、他社との提携に動くことも考えられる。
業界関係者は、大王のお家騒動の行方をかたずをのんで見守っている。(米沢文)