クローゼットのない和室、4畳半しかない子供2人部屋…。現実的な数々の空間には、通常の家具店にありがちな別世界の楽しさはない。その代わり、来店客は部屋づくりのヒントをつかむ。「自分たちの狭い部屋でも、イケアならピッタリの家具があるかもしれない」と。
1943年、北欧のスウェーデン南東部でイケアは産声を上げた。日用品の通信販売から始めた当時17歳のイングヴァル・カンプラード氏のビジネスは、やがて家具販売に発展する。「村のみんなが必要とするものを売りたい」。人の生活に思いをはせた少年の精神は、いまも世界中のイケアに受け継がれる。
親子連れに配慮した店舗のレイアウトもその一つ。モデルルームが連なる2階の順路は、退屈する瞬間を見計らうように、途中から子供向けの空間に変わる。布や木のおもちゃが並ぶ一画に続いて設けられたレストランは、子供に人気の高いミートボールが看板メニューだ。
年1回のイベント「お泊まり会@IKEA」にも、DNAは息づく。イケアが催すセミナーの一つで、店のモデルルームに実際に宿泊、寝具の寝心地を体験できる。2009年に始まり、これまで約200組が参加した。