新事業開拓を進めるドコモの高木一裕・フロンティアサービス部長は「携帯電話と食品はともに毎日欠かせないもの」と親和性を強調。「『(携帯を使い)その場で注文したい』というニーズに応える」と期待を込める。
将来を見据えて2008年に創設したフロンティアサービス部は、「金融・コマース」「健康・医療」「環境」「教育」「安心・安全」の5分野での連携を模索している。目指すのは、「モバイル(移動通信)を核とする総合サービス企業」だ。
10年4月には損害保険大手、東京海上日動火災保険と携帯から手軽に保険に加入できるサービスを開始。今年6月にはオムロンヘルスケアと新会社を設立し、体重計などと携帯を連携させたサービス提供を検討するなど事業の幅を広げている。ドコモは、新規事業の売上高を15年度までに11年度比で2.5倍の1兆円に引き上げる方針だ。
「土管化」の懸念
ドコモは約6000万件の顧客基盤や約2400の販売店、多くの基地局など他社を凌駕(りょうが)する携帯の“資産”を保有する。こうした資産は、新たな販路を確保したい異業種からみれば垂涎(すいぜん)の的だ。
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