一方、ドコモにとっても異業種との連携は望むところ。総務省によると、11年末の携帯電話(PHSを含む)の人口に対する普及率は101.4%となり、1人当たり1台を上回った。かつてのような急成長は望みにくい状況になっている。
また、通信料収入が高いスマホの普及は進んでいるものの、番号持ち運び制度(MNP)で転出超過が続くなど、米アップルの人気端末「iPhone(アイフォーン)」を展開するKDDI、ソフトバンクに押されていることも、ドコモを異業種連携に突き動かしている。
さらにアイフォーンの登場などで、携帯電話会社は本業の回線提供に専念せざるを得ない「土管化」の懸念が浮上しているという側面もある。
調査会社のMM総研の横田英明研究部長は「ドコモは、土管化への危機感からトータルサービスを志向している」と指摘。その上で「手を広げすぎると、本業に影響が出かねない」と警告している。(中村智隆)