ただ、国内で成功しているガンダムだが、海外で存在感があるとは言いがたい。
一部のオンラインゲームは韓国・中国・香港で販売されているが、映像ソフトやゲームソフトは国内向けがほとんど。商品展開の大前提となる映像を海外に広めようにも、各国の規制もあって希望する放映権獲得がままならないのが実情。さらに海賊版の問題も残る。
そこでバンダイは、昨年3月から専門サイト「GUNDAM.INFO」を日本語のほか、英・韓・中・台・香港の5言語で立ち上げた。現在、毎週日曜午後5時から放送中の「ガンダムAGE」の動画を、ほぼ同時に日本語を含む6言語で無料配信している。
「まずは作品を見られる環境を用意し、好きになってもらうこと。まずはこうした取り組みを通してムーブメントを起こし、海外への足掛かりにしたい」とサンライズの宮河専務は話す。
バンダイナムコHDのグループ全体に占める海外売上高は1割程度。ガンダム関連の海外売上高も同じく1割程度にすぎない。海外展開が比較的順調なアニメとされるが、「もっと浸透できるコンテンツ」(同社)と期待は大きい。
バンダイナムコHDは2012年4月から3年間の中期計画では、アジアを「新成長領域」とし、ガンダムをアジア攻略の最大のキャラクターと位置づける。
ネットの普及もあり、日本のアニメやファッションを好むユーザーは海外に広がりをみせる。ただ、クールジャパンは話題先行の部分も大きく「実需につながるのはこれから」(関係者)といった声も多い。
年代を超えて日本で受け入れられたガンダム。「クールジャパン」の将来を占う試金石になるかもしれない。(兼松康)