スマートフォンの出荷台数【拡大】
違約金を支払っても解約、契約を繰り返せばもうかる、という、自らの首を絞める仕組みを消費者に示しておいて、それでも顧客を囲い込めれば得だと考えているようだ。しかし、ではツイッターなどで1000万人が示し合わせて解約、契約を繰り返したらどうする?
KDDIの田中孝司社長は1月26日、2012年3月期第3四半期決算の記者会見で、「MNPは昨年10月から首位を続けている」と強調。スマホに出遅れ、17カ月続いていたMNPの転出超過が転入超過に変わって、「MNPを重視していく」と得意そうに語った。
田中社長のMNP重視発言が契機になったわけではなさそうだが、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルを交えた不毛な“MNPスパイラル”が新年度になっても収まる様子を見せないのは、ダブルで効く他社からの顧客引き抜きが、目先の契約増の特効薬になるからだ。しかし、通信アナリストは「行き過ぎたMNP競争は、事業者にとっても利用者にとっても不幸なこと」と懸念する。短期間で移動する利用者に多額の販売報奨金を費やし続ければ、利用者はすぐにより魅力的なキャンペーンに乗り移り、事業者は本来のサービス競争がないがしろになりかねない。何より、費用は、巡り巡って利用料金に跳ね返ってくる。
スマホの急増を背景に昨年から相次いだ通信障害。今年度は携帯電話市場全体のうち、スマホの販売台数が過半数になるのが確実とみられるなかで、各社とも通信設備の大幅増強が喫緊の課題だ。競争すべきことは別にある。(産経新聞経済本部 芳賀由明)