平成19年6月、株主総会で社長を解任され、会見した三屋裕子氏。思わず涙ぐむ場面も=神戸市中央区(竹川禎一郎撮影)【拡大】
シャルレライテックは22年にシャルレが他社と合弁で始めた企業だが、本業のもうけを示す営業損益は2億円を上回る赤字が続き、シャルレ本体の収益を悪化させていた。東京商工リサーチによると、シャルレライテックは約6千万円の債務超過状態で、シャルレから資金を調達していたようだ。
経営不振の合弁相手が手を引き、今年3月末にシャルレの完全子会社となったが、「赤字会社を押しつけられた」との不満が創業家にくすぶり、岡本氏と子会社社長の辞任へつながったとの見方も一部にはある。
仮に、議決権の過半数を握る創業家から株主総会で取締役の解任動議を出されれば、経営陣は苦境に陥る。今のところ、三屋氏の社長解任劇やMBO騒動で世間の批判を浴びた創業家は、表面的には鳴りを潜めたままだ。ただ、3月末に5人いた取締役のうち生え抜きといえるのは橋本新社長のみだった。今回、外部出身の2人が一度に辞任したことで、創業家の影響力が増すのは間違いない。
「創業家は無関係かもしれない。だが、社長の辞任理由が『一身上の都合』なんて含みのある言い回しだと、あらぬ憶測が飛び交うことになる」。あるアナリストはこう苦言を呈す。
果たして、創業家による“逆襲劇”の幕は上がったのだろうか。(藤原章裕)