シャープと鴻海グループの業務提携会見で流される「鴻海精密工業」の郭台銘会長のビデオメッセージ=3月27日、東京・千代田区(栗橋隆悦撮影)【拡大】
シャープが起死回生の策と期待するのが鴻海との資本業務提携だ。鴻海は日本や米国のメーカーから薄型テレビやゲーム機、携帯電話などの生産委託を受け、22年12月期の連結売上高は8兆円を超える。
シャープにとって悩みのタネは、約4千億円の巨額投資で稼働させたものの、需要低迷で5割の減産を強いられている大型液晶パネルの堺工場(堺市)。鴻海に液晶パネルを供給すれば、堺工場の稼働率が上がり、液晶事業の採算を改善できる。
さらに視線の先にあるのは、スマートフォン(高機能携帯電話)などの製造を鴻海に委託している米アップルだ。アップルが開発中とされるテレビに液晶パネルを供給できれば、業績回復にむけて一気に視界が開けてくる。
だが、鴻海との提携は“もろ刃の剣”。鴻海には10月以降に液晶パネルを供給する計画だが、技術流出の懸念が残る。コスト削減に定評のある鴻海のテレビが市場に出回れば価格下落に拍車がかかり、シャープのテレビ販売にも悪影響を及ぼす可能性がある。
仮にアップル向けテレビに液晶を供給できても、アップルへの経営の依存度が高まりかねない。
今後の成長戦略を鴻海との提携に賭けたシャープ。5月末にも発表するとみられる提携の具体策とその効果について、市場は固唾をのんで見守っている。(大柳聡庸)